ユダヤ人、フリーメーソン、ナチス、コミンテルン……。察しのいい方はおわかりだろう。「〇〇の陰謀」といったときによく〇〇に入る語群である。
中でも人気があるのはCIA(米国中央情報局)だ。「世の中の多くの事件はCIAの陰謀によるものだ」と信じている人たちもいて、彼ら彼女らにかかると「空が青いのも、夏が暑いのも、みんなCIAのせい」になる。
冷戦が終わって20年以上が経過し今さらCIAでもあるまいというのはやや早計。すべての組織は自己保全の本能を持つというセオリーに漏れず、CIAは自らの存在意義を経済分野に求めた。
CIA陰謀史観から今の世界を眺めるとどうなるか。英国のEU離脱は欧州の巨大化を恐れた米国政府がCIAを使って仕組んだものであり、原油価格の下落も、産油国を牽制するためのCIAによる秘密工作だった──。
こうしたCIA陰謀史観のメニューに三菱自動車工業の燃費不正事件があるといったら驚かれるだろうか。
長くなるが話はこうだ。
三菱自工から軽自動車のOEM供給を受けていた日産は、燃費不正を以前から知っていた。それを公にすることによって三菱自工の株価は暴落、三菱グループからも見放された三菱自工の救世主として登場した日産は、廉価でその株式の34%を取得できた。
そうまでして日産が三菱自工を傘下に収めたい理由はトヨタ追撃。2015年の世界販売台数はトップのトヨタが1015万に対し日産は852万で第4位。これに三菱自工分を合わせると959万となり、だいぶ差が詰まる。
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