多忙な女性たちの心をつかむイレブンカット。創業者の吉楽裕社長は鮮魚店出身で、決して美容業界に精通していたわけではない。
──美容室の社長になったのは、偶然だったのですか?
鮮魚店を辞めてから、通っていた個人美容室のオーナーから「このお店、あまり調子がよくないし、買ってよ」と持ちかけられたのがきっかけだ。
当時の私は美容にこれっぽっちも興味がなく、運営ノウハウだってない。当然、最初は断っていたのだが、その店に置いてあった美容業界の専門誌をめくっていたら「チャンスがあるかもしれない」と思った。雑誌では、「客が美容室に対して不満に思っていること」がランキングされていた。ワースト5は、「値段が高い」「時間がかかる」「予約が面倒」「メニューが多すぎて面倒くさい」「商品を売りつけられる」。では、これを全部反対にしたらベスト5になるのではと考え、買うことに決めた。今思えばとんだ素人発想だが、それがよかったのだろう。
──失敗しませんでしたか。
手痛い失敗もあった。人件費を節約するために、受付機能を持つ券売機を1台100万円で購入したが、女性は「ラーメン店のようで恥ずかしい」と、券売機で買うことを嫌がり、結局撤去することに。現物は教訓として本社に置いてある。
──経験が生きた部分は?
美容業界は鮮魚店と意外にも似ている。徒弟制で、何年も下積みをやって、独立ができればいいけれど、独立できなかったら終わり。独立しても、今や弱小店が生き残るのはつらい。前職では、個人店がうまくいかなくなってきた時代にデパ地下などにテナントで入って事業を立て直した。美容業界も当時の鮮魚の業界と、年々似てきている。
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