南シナ海で中国が人工島を造成し、軍事拠点化を進めていることで、豪州が政策変更を余儀なくされた。同国の新防衛白書で、「ルールに基づく国際秩序」の維持が優先事項の中核に据えられたのだ。一国の防衛関係の綱領に、こうした文言が記載されるのは異例である。しかも、これまで米国の政策を後追いしてきた豪保守政権の手によって書かれたのだから、驚きに値する。
豪州は米国という戦略的パートナー、中国という経済的パートナーとの間でゼロサムに陥る選択だけは避けたいと考えている。そのため防衛白書の文言の選び方には、かなりの工夫が凝らされている。
特徴は、すべての関係国・地域に対し、拘束力を発揮するというものだ。中でも中国を直接的に牽制している。この方針により、中国は以下の4点で方向転換を迫られそうだ。
1点目は、南シナ海の西沙 (パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島などで領有権を主張している島々について、中国は個別に切り分けて対処する必要が生じそうなことだ。さらに領有権の主張が他国と重なった際、国際的な仲裁機関を通じた解決が望まれることになる。
2点目は、中国が独自の基準線として、その内側の領有権を主張している「九段線」の放棄を迫られることだ。また放棄のみならず、「歴史的水域」「伝統的な漁場」といった確たる根拠のない主張も撤回する必要が出るだろう。
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