科学の共通言語として、圧倒的に重要な英語。研究者になれば、英語で論文を書き、英語で学会発表をすることが求められる。通常は大学院で研究生活に入って初めて英語論文を書くものだが、東京大学では英語論文の執筆を理系の約1850人の新入生全員が経験する。その必修授業が、「ALESS(アレス)(Active Learning of English for Science Students)」だ。
ALESSは自ら実験して英語論文を書き、英語で口頭発表する授業だ。2008年度の立ち上げの中心となった大学院総合文化研究科のトム・ガリー教授は「東大では理系学生の約8割が大学院に進学して論文を書くため、それまでに英語論文を書くスキルを学んだほうがよいと考えた」と開講の狙いを語る。
授業は英語のネイティブスピーカーかそれに準ずる教員が担当し、説明も配付資料も議論もすべて英語。教員のほぼ全員が博士号を持っており、研究経験を生かした指導が行われる。1クラスは約15人と少人数で、期間は半年間だ。
学生は個人またはグループで簡単な科学実験を考えて、それを行ったうえで各自が論文にまとめる。過去の実験テーマには、「頭皮の汗とシャンプーの泡立ちの相関」や「“クリーミー”の味覚における男女差」などユニークなものが並ぶ。新入生がいきなり実験デザインを考え、結果の分析を行うのは大変だが、教員やティーチングアシスタントの大学院生のアドバイスを受けたり、学生同士で話し合ったりしながら試行錯誤で取り組んでいく。
実験を終えると、英語論文の執筆が待っている。形式は本格的な英語論文の構成にのっとり、イントロダクション(導入・背景)、メソッド(方法)、リザルト(結果)、ディスカッション(考察)の各パートに分けて記述する。締めくくりとして、その内容について英語で5分程度の口頭発表と、質疑応答を行う。
この記事は有料会員限定です
残り 637文字
