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ドル高円安基調への回帰も “1998年の悪夢"は終息へ

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  • 高島 修 シティグループ証券チーフFXストラテジスト

正直なところ、2月の1ドル=110円台へのドル円相場の急落を的確に予期できたわけではない。むしろ1月末の日本銀行のマイナス金利政策の導入で、しばらくはドル高円安になる可能性も考えていたぐらいだ。だが、この一年、潜在的なドル安円高リスクの大きさを指摘してきた筆者にとって、この数カ月のドル安円高は大きなサプライズだったわけでもない。

2015年初めから、長期的なドル高円安の流れが中断する可能性を警戒してきた理由の一つは「1998年の悪夢」だ。98年の悪夢とは、90年代とこの10年代の類似性から発想を得た筆者の造語だ。

90年代後半、ドルはFRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めをきっかけに上昇を開始し、01年のITバブル崩壊までニューエコノミーをテーマとした長期ドル高が続いた。

その長期ドル高トレンドの中で、98年にドル指数が一時的に1割近く急落する波乱を経験した。95年に円高が円安に転換したことで、国際競争力が不安視されるようになったアジアで、97年に通貨危機が発生。世界経済が減速した余波で原油価格が下落し、産油国のロシアが経済危機に陥った。ロシア国債投資に失敗した米ヘッジファンド大手LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)が経営破綻し、世界的な信用収縮が起こった。米国株が2割近く急落する中、FRBが緊急利下げを含む流動性供給と金融緩和に踏み切ったことで、ドルが円や欧州通貨に対して急落した。

ここ数年も同様のことが起こってきた(表1)。13年のFRBの緩和から引き締めへの転換で円安が進む中、アジアを含めた新興国が混乱し世界経済が減速。それを受けた原油安がロシアやサウジアラビアなどの産油国、シェール産業のような米エネルギー企業を直撃した。

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