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不易流行の願い 一過性の中に永遠性を根付かせる

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俳聖・松尾芭蕉に「不易流行」という有名な俳論がある。先学の解釈にも諸説あるが、私は私流に次のように解釈している。

・私(芭蕉)は作句において不易を目標にしているが、必ずしも流行を否定しているわけではない 

・だから門人たちは遠慮せずに流行的俳句を作るがよい 

・ただしその句は、今は流行であっても、時が経てばいつの間にか不易と呼ばれるものであってほしい 

芭蕉が生きた元禄年間は文芸隆盛の時代だ。時の将軍(五代)綱吉の好学のせいもあって、俳句も盛んだった。特に江戸にいる門人たちは時流を意識し、迎合的な華やかな句を詠んだ。茶道の侘びにも似た枯淡を趣意とする芭蕉の句風に背くものとして、門人たちの中にはこの風潮を批判・非難する者もいた。これに対し芭蕉が「不易流行」の論を唱えたのである。

不易というのは「変わらず、変えず」という意味だ。流行は「はやる」ということで、「時流に乗る、おもねる」の意味だろう。不易には永遠性があり流行は一過性だ。私は芭蕉の考えを、二者択一でなく両者併存としてみた。しかし難しい。

なぜなら私の考えでは「流行の中にも不易性を含ませろ」ということになるからだ。言葉を変えれば、「一過性の中に永遠性を根付かせろ」ということだ。そのためには目前の現実を直視し、的確な対応が大事である。が、その現実対応が実はかなり長期的視野に立った、将来の見通しからの逆算でなければならない、ということになる。

芭蕉はかなり無理なことを求めているのだ。ということは本心では流行を否定しているのだろうか。ところが芭蕉の句の多くが、アップ・トゥ・デート(今日的)なものであり、いわば流行の範疇に入る。おそらく「芭蕉先生の句はいつも新しい。みずみずしい」と当時の人々をうならせたに違いない。

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