昔、高名な作家が「描写の後に寝ていられない」と発言した。小説家も書くものにもっと社会性を持たせろ、という意味だったのだろうか。私は最近、「憩いの後に寝ていられない」ということを嫌というほど経験した。映画とミステリー小説においてである。
スペクタクル・西部劇・戦争もの・活劇などは必ず映画館に行く。シニア料金では入らない。1800円キチンと払う。テケツ(チケット)売りの娘が変な顔をする。指でシニア料金を示す。私は首を振る。「おまけしてもらうと作品の悪口が言えない」。これは週刊誌で映画評を書いていた頃からの私の信条だ。
最近見たのが『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ヴィジット』などだ。見たいのが『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『007 スペクター』『I LOVE スヌーピー』だ。『コードネーム』は「0011ナポレオン・ソロ」のリメークだった。前はロバート・ボーンがはまり役だったが、今回はがらりと変わっている。『マッドマックス』もメル・ギブソンの連作だったが、俳優は違う人になった。若い人に人気があるという。
“憩いの後”に寝ていられなくなったのは、始まってから終わるまで文字どおり“息をもつかせぬ状態”に追い込まれたためだ。緊張に次ぐ緊張で体がガタガタになり、体内の力が全部抜けてしまった。
そして見終わった後、何も覚えていない。(これが現在の映画制作法なのか?)と思うくらい、映画館を出たら頭には何も残っていない。その代わりひどく疲れた。ジュリアン・デュヴィヴィエが恋しい、ジョン・フォードが慕わしい、キャロル・リードに会いたい、フランシス・コッポラやスタンリー・キューブリックの声を聞きたい。帰りに韓国料理店でマッコリを飲み、チゲ鍋をつつきながらつくづくそう思った。
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