目的に応じて手段を選ぶべきであるという比例原則は、「雀を撃つのに大砲を用いてはならない」という言葉で例えられることがある。
過去3年、政府や日本銀行が実施・展開してきた経済政策は、比例原則と正反対だった。彼らには、激変する国際環境の中で自由自在に飛び回る雀(政策ターゲット)を大砲で射止めることなどできなかった。政府や日銀の内側で「また弾が外れたのか!」「いや少しはかすめています」といった言葉が飛び交っている風景をつい思い浮かべてしまう。
2015年11月16日のSNA(国民経済計算)1次速報で15年度第3四半期の実質GDP成長率が年率マイナス0.8%だと公表された。
第2四半期が年率マイナス0.7%だったため、メディアは「2期連続マイナスであり、リセッション(景気後退)に突入」と報じた。ところが、12月8日の第3四半期の2次速報でプラス1.0%に上方修正され、政府は面目を保った。
私は11月20日に出演したラジオ番組で、「わざわざ年率換算して大騒ぎするのでなく、前期比で見てコンマ数%のプラス・マイナスは、よいニュースと悪いニュースがぶつかり合った結果。ある意味で成熟した日本経済の自然な姿ではないか」とコメントした。
それでも政府サイドからは、政策目標を達成できないいらだちからか、「人件費を抑制し、設備投資を躊躇している」と企業批判が繰り返された。日銀総裁は民間に賃上げを督促した。政府当局者たちは国民に対し、賃上げを援護しているのだからといわんばかりの態度で「何人(なんぴと)も働け!」「一億総活躍を」の号令をかけた。こうした発言は、自由社会のリーダーとしてはたしてふさわしいものだろうか。
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