有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #為替観測

物価上昇の下振れ懸念で一段のドル高は限定的 市場の米利上げ予想はFOMC見通し下回る

3分で読める 有料会員限定
  • 門田 真一郎 バークレイズ銀行東京支店 為替ストラテジスト

昨年12月、FOMC(米国連邦公開市場委員会)はFF(フェデラルファンド)金利の目標誘導レンジを0.25~0.50%に引き上げ、9年ぶりの利上げを決定した。一方、今後の利上げペースについては、「緩やか」かつ「指標次第」になることを強調した。現状では年内に4回の利上げを示唆しているが、調整余地を示した格好だ。

12月のFOMCでは、物価の下振れに対する懸念が表明された。「インフレ率が2%を下回っている点を考慮し、委員会はインフレ目標達成に向けた実績と、見込まれる進展を注意深く観察していく」という文言が声明文に加えられ、物価の見通しのみならず、実績も重要だと示した。

米国のコア物価動向を見ると、家賃を中心にサービス価格の上昇が続く一方、輸入物価に影響されやすい財価格の下落が全体を押し下げてきた。イエレンFRB(米国連邦準備制度理事会)議長は従来からコア物価の下振れはドル高といった一時的要因によるものとし、この影響が一巡すれば物価上昇は2%目標に向かって加速していくとの見解を示してきた。

だが、中国を含む主要国の生産者物価は下落を続けており、ドル高が一巡しても財価格が上昇に転じるとは言い切れない。9月以降は安定が続いていた人民元の下落が再び加速していることも、米国の輸入物価上昇の足かせになりやすい。以上から、米コアPCEデフレーター(食品、エネルギーを除く個人消費支出関連の物価指標)は、2016年を通じて1%台前半にとどまりそうだ。FRBは3月に2度目の利上げに踏み切る見込みだが、6月には物価下振れから利上げを見送る公算が大きい。

米国の金融政策がドル相場に与える影響を考えるうえでは、FOMCと市場との利上げ見通しの乖離に注目だ。今年の利上げの回数について市場は2~3回を織り込むにとどまっており、FOMCメンバー予測の4回を下回っている。もし4回利上げがあれば、市場の見通しが修正され、ドル高圧力が強まるだろうが、物価面からの下振れリスクを考慮すると、ドル高が一本調子で進むとは考えにくい。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数

注目の特集・連載

オールドメディアの岐路 特集 記事