日本銀行が10月30日の金融政策決定会合で追加緩和を実施しないと決定したことで、日銀ウォッチャーの間に落胆が広がった。
2年前、日銀の黒田東彦総裁は2015年までにコアインフレ率(生鮮食品を除く)が1.9%に達するだろうと語ったが、現在はわずか0.1%になると話している。
日銀政策委員会の中にも、18年3月末までの黒田総裁の任期中に2%のインフレ目標が達成できるかどうか、疑問を呈しているメンバーが数人いる。9人の政策委員会の予想の中央値は、17年度中にコアインフレ率が1.8%に達すると示している。しかし、日銀の「展望レポート」によれば、9人のうち5人のメンバーが「インフレ率はもっと低くなるリスクがある」と考えている。
黒田戦略に欠けている重要な要素は労働市場である。黒田総裁は、日本が完全雇用状態にあるため、やがて賃金と物価の上昇につながると主張している。だが、日本が最後にコアインフレ率2%を達成したのは1990年代初頭までさかのぼる。当時の失業率は2.4%だった。
91年以降のデータに基づくと、現在の3.4%の失業から、約0.5%のインフレ率がはじき出されるのだ。黒田総裁は、企業に対しても実力以上の賃上げを指導している。だが、同じデータから導き出されるのは、名目賃金が年率2%上昇するためには、失業率が2.6%以下に低下する必要があるということだ。
この記事は有料会員限定です
残り 377文字
