為替相場は、市場のリスク許容度、内外金利差、通貨供給量、経常収支など、さまざまな要因で動く。
過去1年間の名目実効為替レート(複数の国に対する為替レートを貿易量などで加重平均したレート)の変動率を見ると、高くなった国には、経済が比較的好調な国、利上げ期待が存在する国、それらに通貨が連動しやすい国などが含まれる。
一方、下落した国は、経済が不調な国、利下げ期待が存在する国、量的緩和継続中の国、資源輸出型の国などだ。
短期的には、各国の景気、金融政策、世界の市場動向などが為替の変動サイクルに影響している。したがって、それらの動きにより各通貨の名目為替レートが長期的なトレンドから大きく上下に乖離するケースが出てくる。
名目為替の長期トレンドは、基本的には各国の相対物価に左右されると考えられる。同様のモノやサービスはどの国でも同じ価格で購入できるように、為替は相対物価に応じて決まるという「購買力平価」の考え方だ。
長期は相対物価で決まる
短期的には相対物価に応じて通貨は変動しないため、輸出競争力に差が生じて貿易・経常収支が変動する。通貨安で貿易・経常収支が改善した国の通貨は上昇に向かい、通貨高で貿易・経常収支が悪化した国の通貨が下落しやすくなる。そうして結局、長期的には相対物価のトレンドに沿うように名目為替のトレンドが形成されていく。
言い換えると、名目実効為替レートを相対物価比(=海外物価/国内物価)で実質化した実質実効為替レートは、長期的には上下にトレンドを形成しにくい。
簡易的に通貨の割高・割安を判別する方法の一つは、長期的に見た実質実効為替レートの現在位置を見ることだ。BIS(国際決済銀行)が発表している1994年以降の実質実効為替レートから15年7月時点の偏差値を算出すると、主要通貨の中で最高は中国、最低はノルウェー、次いで低いのが日本である(図1)。
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