基本編
工業会計では、工場で製品を造ったときにかかった製造経費(労務費、設備費用など)を、その期に売った製品の売上原価と期末に残った在庫品の製造原価に配賦(配分)して計算する。工場の製造経費は一定(図表1では100)なので、期末の製品在庫が増えると、売上製品に配賦される売上原価は減る(図表1では上が原価80、下が同60)。
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利益は売上高から売上原価を引いたものなので、売上原価が減れば利益は増える。在庫が増えると原価が減り、利益が増える。
期末に前倒し生産して在庫品をためるメーカーが存在するのは、こうした計算ができるからだ。さらに、実際には在庫品を造らず、見掛け上の期末在庫金額をを増やすだけでも利益は増える。在庫操作は古典的な粉飾決算の手口で、これが原型となり、東芝ではPCや半導体事業で不正会計がなされた。
応用編
東芝はPC事業で、自社の期末製品在庫を増やすのではなく、期末にODM先の外注組立会社に在庫を押し込む「有償支給部品在庫」を用いてきた(図表2)。
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有償支給とは、組み立てに使う部品に値段をつけて外注会社にいったん支給し、製品納品時に同じ値段で買い戻す行為である。欧米では珍しいが、値段をつけないで支給する無償支給に比べて在庫棚卸し作業の手間を減らすことができるため、日本の大企業の間では広く浸透している。
6月の東芝の株主総会資料には、ODM先へ部品を高値で押し込み販売したことによって販売利益を増やしたような説明がある。が、第三者委員会報告書(以下、報告書)には「有償支給」と書かれているから、押し込み販売で利益を増やしたわけではない。
工業会計の仕訳上、有償支給の部品在庫は、「在庫(棚卸し資産)」ではなく「未収入金」として仕訳処理される(図表3-上)。基本的な考え方は左の「基本編」の説明に使った利益創出と同じだ。期末在庫を増やすことで売上製品の売上原価が減少し、その分の利益が増える形となる。
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