今回、欧州連合(EU)などが求める緊縮政策で柱の1つとなっているのが、ギリシャの年金改革だ。「ギリシャ人は年金をもらいすぎだ」との報道がちまたにあふれているが、実際のところはどうなっているのだろうか。
経済協力開発機構(OECD)の資料を見ると、ギリシャの老齢年金(遺族年金含む)は先進国の中で突出した規模とはいえそうにない。下表のように、全体の年金給付費の対国内総生産(GDP)比では、ギリシャは13.0%。ドイツの11.3%を上回り、OECD加盟34カ国の中で4位に位置する。年金給付費の大小に影響する高齢化率でギリシャはOECD34カ国中3位と高いため、年金給付費の大きさは相当程度正当化される。
次に、個々人の年金給付額を見てみよう。ここでは、年金給付水準が現役時代の賃金の何割に相当するかを示す所得代替率が重要な指標となる。「ギリシャの所得代替率は9割を超え、欧州でも異常な高さ」との報道が散見されるが、結論から言えばこれも厳密性に欠けるようだ。
図表1のように、確かに平均賃金の1/2の該当者では所得代替率は92.5%になっている。だが、平均賃金では70.5%、平均賃金の1.5倍では65.0%と、賃金水準と反比例して所得代替率は下がっていく。これは多くの国で見られる傾向で、公的年金には豊かな人から貧しい人への再分配が組み込まれているからだ。
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要するに、一部の報道はギリシャの低所得者の所得代替率だけを取り上げて誇張している。ちなみにギリシャの所得代替率の高さはOECD加盟34カ国中13位。OECD平均より少し上といった水準だ。所得代替率に影響を与える負担側の年金保険料率は9位だ。
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