5月末の投資信託純資産総額は初の100兆円超──。こんなニュースを聞いて、「投信ブーム再来」と受け止めた向きもあるかもしれない。
証券大手トップからは「貯蓄から投資へのマネーシフトは、本格的な流れにはまだ至っていないと思うが、その胎動は確実に感じている」(大和証券グループ本社の日比野隆司社長)という声も出る。
では、政府や金融機関が掲げるスローガンどおり、家計は「貯蓄から投資へ」動いているのだろうか。
投信を例に考えてみよう。アベノミクスがスタートする前の2012年1月、投信の純資産総額は58.6兆円だった(図表1)。その後、多少の凸凹こそあれ、純資産は基本的には右肩上がりで、約3年半で7割強増えた。
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増加の要因を、設定と解約を中心とする「資金流出入」と「運用による(基準価格の)増減」に分けると、基準価格の上昇だけではなく、13年6月に解約額が設定額を上回ったのを除き、投信市場に資金が一貫して流入していることがわかる。特に昨年12月以降は、今年2月を除き、1兆円を超える流入が続く。
個人投資家の投信に対するスタンスは変化したのだろうか。モーニングスターによると、05年5月の純資産残高(ETF、確定拠出年金、SMA除く)上位10本の内訳は、国際債券型7本、国内株型3本だったが、15年5月は国際REIT型と国際株式型が各4本、国際債券型が2本と個人投資家の好む商品タイプは大きく移り変わっている。
同社調査分析部の平賀優一氏は「昔はグローバルソブリン1本だった1兆円超の大型ファンドが今は5本も存在し、商品は多様化している。ただ、10年前は上位6本、今は上位10本すべてが毎月分配型。表面的な利回りが選好される点は変わっていない」と指摘する。
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