まだ4月だが、筆者が考える「今年の金融市場を表す漢字」を発表したい。それは「独」である。
「独」といえば、グローバルな金融緩和競争が続く中、「孤独」に利上げを進めようとするFRB(米国連邦準備制度理事会)やドルの「独歩高」がまず挙げられる。しかし、より焦点が当たるのは「独(ドイツ)の独り勝ち」だと考えている。バーナンキ前FRB議長は3月に始めたブログの中で、ドイツの貿易黒字が中国に代わりグローバルインバランス(世界的な対外不均衡)の中心的議題になる可能性を指摘している。
ドイツの貿易黒字が恒常的な理由は二つある。一つは、ユーロがドイツの実力に対しては構造的に割安であり、輸出を促進すること。もう一つは、このユーロ安に加えて財政均衡への執着、低下トレンドにある労働分配率などにより、内需は構造的に抑制されていることである。ドイツ製品が良質であることの魅力は、物価や賃金あるいは為替レートが十分伸縮的であれば、実質実効為替レートが上昇して価格が高くなることで調整されるはず。だが、統一通貨であることがそうした調整を阻害する。ユーロ圏にドイツがとどまるか、ギリシャをとどめるかぎり域内の経常不均衡は収束しない。
一方、IMF(国際通貨基金)のデータによればGIIPSと呼ばれるギリシャ、アイルランド、イタリア、ポルトガル、スペインは2013年の段階でそろって経常収支が黒字化している。そのため、ユーロ各国はそろってよい方向に向かっているとの見方もあるが、そうではない。
統一通貨圏ではユーロはGIIPSの実力に見合うまでには下落しないので、名目賃金や物価の低下による調整を強いられる。多くのGIIPSの経常収支改善は、こうした「内的減価」が総需要を深刻かつ一時的に押し下げていることによる。ましてドイツはこれらの国々に財政移転をする意志もない。「独の独り勝ち」は続こう。
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