賃上げが実現すれば消費は回復へ向かう――。期待を込めてこう語られることが多いが、消費回復を見るうえで、賃上げ以外にも気掛かりな点がある。それは「無職世帯の支出が減少傾向にある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸内修自シニア・マーケットエコノミスト)ことだ。
総務省「家計消費状況調査」によれば、2014年4月の消費増税後、無職世帯の支出は、下降傾向をたどっている(図表1の赤い線)。雇用者世帯が横ばいの動きを示しているのとは対照的だ。
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無職世帯の中心は高齢者。団塊世代が退職時期を迎えている今、「シニア消費」と称して、高齢者層が個人消費の牽引役となるという見方があった。確かに13年は無職世帯も雇用者世帯と同様に、支出が増加傾向にあった。しかし、14年4月以降、両者の間に差が見られる。
なぜ無職世帯の消費が低下しているのか。直接的に影響が大きかったのは消費増税を中心とする物価上昇だろう。消費者物価指数は14年4月に前年同月比3.2%上昇した。その前が1.5%前後だったので急激な上昇を体感したはずだ。以後、同年9月まで3%以上の上昇が続いた。
雇用者世帯であれば、春の賃上げや夏のボーナス増の恩恵を受けられた世帯もあっただろう。だが、高齢無職世帯の収入は、もっぱら年金に依存している。収入がほぼ一定の年金世帯は、家計防衛的に支出を減らさざるをえなかったのではないだろうか。
年金の受給水準は年々切り下がってきている。00年度水準に比べ14年度は3.9%も低い。13年10月水準よりも下がっている。(図表2)。物価が上がっても年金額は減ってしまったのだ。
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