シルバー(老人)大学の講座をいくつか持っている。先日はその一つ、関東地方の県都に行ってきた。20年前、県知事が施策として「子供にはプラネタリウムで星の夢を与え、年寄りにはシルバー大学での老後の充実を試みます」と約束し実行した。子供たちに天文館、年寄りには公開講座を設けた。私にも講師の依頼状が来た。
私は子供の頃から星が好きで、誠文堂新光社の『子供の科学』の年間購読者だった。北斗七星を見ては空をたどって、ひしゃくを形作る2点間の長さを5倍延ばして北極星に至るなど、お茶の子さいさいだった。夏は家の前の道路に座り込んで(車はほとんど通らない。見えるのは道路の向こうに干された私の寝小便の跡が地図を描く布団だけ。夜でも恥ずかしい)ずっと空を見ていた。流れ星がすごい。2時間も座っていると数十の流星を見る。星が流れるたびに一日の苦労が流れる。「一日の労苦は一日にて足れり」。本当にそうだと聖書の文句に共感する。
しかしそれほど星に造詣の深い私が頼まれたのは、子供への星の解説ではなかった。年寄りに向けたシルバー大学での講義である。テーマは「歴史の見方・楽しみ方」だ。ま、いいかと20年続けている。
「今年の最高齢は?」と主催者に聞くと「84歳です」という返事。会場の壇上に立って「今年の最高齢者、起立!」と言うと、「ハイ」と返事があって一人のおばあさんが立つ。「ごくろうさん。僕は88歳。席を替わろう」と言うと会場は大爆笑。毎年そうだが、とにかくここの年寄りたちは明るい。年金生活者が大半で、それほど豊かだとは思えないが明るい。私の話は決まっていて「歴史における虚像と実像」。虚像の代表として水戸黄門と大久保彦左衛門と遠山金四郎の3人を取り上げる。
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