共働きや単身世帯の増加で、料理に時間をかけない人が増えている。それに伴い、総菜や冷凍食品など、消費者からは見えない場所で調理・加工された食品を口にする機会も多くなってきた。
だが、2014年は旧アクリフーズ(現マルハニチロ、以下アクリ)製の冷凍食品への農薬混入事件や、日本マクドナルドと取引があった上海福喜食品での使用期限切れ鶏肉の使用疑惑、まるか食品のカップ麺「ペヤング」や日清食品冷凍のパスタでの異物混入など、食の安全を脅かす事件が相次いだ。
マルハニチロは事件を受け、約10億円を投じて工場の監視カメラを増設するなど管理体制を強化している。
ただ管理体制以前に「そもそも気が緩みすぎている」と話すのは、アクリの検証委員会・委員長を務めた奈良県立医科大学の今村知明教授だ。「アクリに限らず、消費者も企業も、日本で作るものは安全と思っている」(今村教授)。アクリでは「まさか誰かが故意に毒物を入れたりするはずがない」という思い込みが、事件の発覚を遅らせた。
さらにアクリの工場では、班長など監督者たちが現場にいないことが多かった。結果、賃金制度の変更で年収が下がるなどした契約社員の不満を吸い上げることができず、それが事件の引き金になったとされる。
事件が起きれば共倒れ 現場の信頼構築を急げ
本来は、現場と上層部のコミュニケーションを密にし、信頼関係を築くことが重要だ。事件後、マルハニチロは監督者の業務を見直し、現場に出る時間を増やした。「工場従業員は安価な単純作業要員と考えられがちだが、実際は彼らの技術で歩留まりが数%変わる。大事な『匠』として接し、待遇も手厚くすべきだ」と、食品リスク管理が専門の有路昌彦・近畿大学准教授は指摘する。
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