露と消えた横浜ベイスターズ買収、住生活グループの次の一手--潮田洋一郎会長

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露と消えた横浜ベイスターズ買収、住生活グループの次の一手--潮田洋一郎会長

合意目前で破談となった、住宅設備大手の住生活グループによるプロ野球、横浜ベイスターズの買収交渉。同球団の親会社であるTBSホールディングスは放送事業の赤字に苦しんでおり、年間約20億円の損失を補填しなくてはならない球団の売却を画策していた。そこに名乗りを上げたのが住生活グループで、交渉はすんなりまとまるとみられていた。

合渉合意の妨げになったのは何か。住生活グループのトップである潮田洋一郎氏に直撃すると、落胆した顔は見せず、淡々と語り始めた。

「球団買収はもっと簡単だと思っていた。チームを補強し、伸び伸びとプレーできるような環境を整えれば、ファンもついてくるし、地元との関係もドライに割り切れると思っていた。でも、現実は極めて不可能に近かった」

両社の交渉が難航した最大の原因は、TBSが提示した条件。本拠地と監督などの人事を動かさないことだった。

本拠地を変更する場合は10月末までに、来期から新規参入するには11月末までに、プロ野球実行委員会とオーナー会議の承認を受ける必要がある。両社の交渉が始まったのは9月上旬。TBSからすれば、他球団や横浜市、移転先の自治体に迷惑をかけずに、円滑に引き継ぐための条件だった。

住生活グループにとって買収の一番の目的は今年1月に立ち上げた新ブランド「LIXIL(リクシル)」の知名度向上にあった。それならば、球団の名称にブランド名を入れれば済むため、横浜から移転する必要はないはず。にもかかわらず、潮田氏は移転にこだわった。

「球団の価値にかかわるので詳しく言えないが、社内の検討チームから、本拠地が横浜スタジアムではダメだという報告が出てきた。現状の形では、誰がやっても現状の(厳しい)結果しか出ない。われわれは多額の投資をするわけだから、ほかの候補地と比較をして、納得できるところでなければ、株主に説明できない」

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