「イスに長時間座る人」が知るべき甚大な健康被害 座る時間が長いと「最大酸素摂取量」が減少

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運動時間はたかが30秒と思うかもしれない。しかし実際行ってみると、単一の運動を30秒も続けることは難しく、普段運動をしていない人にはハードルが高すぎる。そのため最初はTABATA式と呼ばれる20秒運動、10秒休憩を、はじめは4セット(2分)、最終的には8セット(4分)のトレーニングができるように徐々に負荷を上げていく。

そして最も取り組むべきなのが筋力トレーニングだ。一般には筋トレは筋肉の力を増強し、筋肉を大きくするための刺激を与えるもの。しかし筋トレもまた最大酸素摂取量を増大させる働きがある。

とくに初期体力が低い場合は、筋トレをするだけで、筋力と心肺機能を同時に向上させることが期待できるため非常に効率的。健康効果を得るためには、30秒から始めて、4分程度の腕立て伏せ、懸垂、スクワットのような自分の体重を利用した自重トレーニング、タオルやイスを利用した自宅でのトレーニングで十分必要な筋力をつけることができる。

生活スタイル全般の改善が必要

運動を開始しようとするときにとくに注意しなくてはいけないのは、徐々に強度を上げていくことだ。若い頃と違って、関節や筋肉、靱帯を損傷してしまうと、回復に時間がかかるばかりでなく、一生もののケガになってしまう可能性もある。

運動の習慣化には、毎日続けられるように、疲労を残さないレベルで運動をやめることが重要。負荷を強くしてトレーニングするのは、運動の習慣ができてからであって、初期の頃はちょっと物足りないなというレベルで十分だ。

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疲労を残さないために十分な睡眠を取ることも必要。睡眠不足を繰り返すとストレスホルモンであるコルチゾールが徐々に増加していき、筋肉量の減少につながってしまう。

運動は酸化ストレスを与えるため、普段から抗酸化物質が豊富な野菜果物を摂取することも忘れてはいけない。そして抗酸化物質の摂取は極力食品から摂取すべき。多種多様な抗酸化物質を取り入れるために、色とりどりの野菜果物を摂取することが重要だ。
 

石黒 成治 消化器外科医、ヘルスコーチ

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Seiji Ishiguro

消化器外科医、ヘルスコーチ。1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸がん外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。

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