部下の心を掴む「異動初日の挨拶」のポイント 重要なのは「部下が何を聞きたいか」である

拡大
縮小
② 部下たちに「覚えておいてもらいたいこと」だけを話す

初日の挨拶では、あれもこれもとたくさん伝えたいことをつい盛り込んでしまいがちです。しかし、伝えたいことはとことん絞り込むのが正解です。部下たちに「覚えていてもらいたいこと」だけを話す、というポイントを忘れてはいけません。

部下たちが、新しい上司から聞きたいことって何だろう? そんな問いかけに答えるような内容を厳選するのです。「相手目線」に立った発言内容にチューニングしていくイメージです。上司の心情としては、初日の挨拶の中でつい「自己紹介」や「決意表明」をしたくなるものですが、聞き手のメンバーにとっては意外と退屈だったりします。

もし部下たちの「新しい上司に聞きたいこと」ランキングがあったら、これらの項目はおそらく下位に埋もれるでしょう。

部下だったときのことを思い出そう

それでは、部下が新しい上司に最も聞きたい話は何でしょうか。それを知るには、自分が部下だったときの経験を思い出したり、ほかの人にインタビューするなどして探っていく必要があります。

『できる上司は会話が9割 「困った部下」が戦力に変わる、コーチングのスゴ技』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

一方的に自分の主張をするのではなく、相手が聞きたいと思うことを察知して伝える。そのための事前準備は怠らない。そんな姿勢が求められているのです。

私がコーチングした上司によると、部下から評判がいいのは「未来志向」の話だそうです。つまり「これから自分は『どんなチームをつくろうとしているか』」が伝わる話をする。

新しい上司が何を目指しているのかがわからないままでは、部下たちはどこに進んでいいかがわからず、不安を感じます。その不安を初日の挨拶で解消するのです。

上司の最初の仕事として、これ以上に重要度の高い仕事はないかもしれません。

林 健太郎 リーダー育成家 合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はやし けんたろう / Kentaro Hayashi

一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏と出会い、プロコーチを目指して海外修行に出る。2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業などで、のべ650人を超えるビジネスリーダーに対してコーチングを実施。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』を運営。著書に『できる上司は会話が9割』(三笠書房)。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT