手芸に夢中になるシニア男性が増えているワケ ハンドメイド作品販売アプリもブームを後押し
男性は、高級な道具や素材にこだわる傾向がある。手芸でも同じだ。
創業67年の歴史を誇る老舗手芸道具メーカーのKAWAGUCHIが経営するハンドメイド道具の店、「Cohana」は、地域の伝統工芸が施された匠の逸品を扱う。
竹の風合いを真ちゅうで再現した、「真ちゅうの竹尺」などは、男性客に人気だ。先日も、リモートワークのおうち時間を利用して、自身のシャツをつくりたい、と道具を探す男性客が来店した。
手芸は年齢や性別を問わず愛されてきた
男子サークルに所属する、早坂恒夫さん(71)は、刺しゅう歴30年のベテラン刺しゅう男子でもある。
「子どもや孫には、アニメのドラえもんやキャプテン翼の図案を刺したクッションなどをずいぶんつくった。妻のために草花を刺した大きな鏡台カバーは、20年たったいまも愛用してくれてる」
65歳で定年退職。新しい趣味を探して絵画教室や版画教室にも通ったがピンとこない。
NHKの編み物番組を目にして興味がわいた。すぐに棒針編み、かぎ針編みの講座を受講した。
「テレビを見ていても何か作業していないと落ち着かない性分。サークルの集まりでは、若い男性に交じっておしゃべりするのも楽しい」
先の樋口愉美子さんは、手芸ファンにこうエールを送る。
「手芸や刺しゅうは、古くから世界中の家庭で営なまれ、年齢や性別を問わず愛されてきた仕事です。わたしは100歳まで刺しゅうを続ける予定です。みなさんもぜひ、手芸を長く楽しんでください」
(本誌・永井貴子)
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