京王線新宿駅で働く、身長30㎝「新駅員」の正体 外国人客対応もOK、人手不足解決の切り札に

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京王線新宿駅に異動してきた新人駅員「下北沢レイ」(記者撮影)

1日に約80万人が乗降する京王線新宿駅。2019年9月、今春入社した新入り「駅員」が同駅に異動してきた。券売機の間にたたずむ、身長わずか約30センチの彼の名は「下北沢レイ」。

オムロンの子会社、オムロンソーシアルソリューションズが開発した駅案内ロボットだ。

「下北沢レイ」の初任地は名前にあるように下北沢駅だ。同駅の中央改札口の新設に合わせて2019年3月に設置。音声対応型のAI(人工知能)が組み込まれており、乗り換え案内や運行情報などの問い合わせに対応できる。

利用客にトイレの場所や乗り換えを案内

下北沢レイは、利用客に話しかけられると業務を開始する。音声での回答とともに、ロボット本体の足元に設置されたディスプレイに会話内容を表示し、利用客に駅構内や周辺の道案内、乗り換え案内などを行う。トイレの場所を尋ねると、駅構内のどこにあるのかを教えてくれる。

初任地の下北沢駅ではおよそ5分に1回の頻度で利用者から声をかけられ、案内業務を行った。6月24日以降は英語・中国語・韓国語の3カ国語への対応も開始し、訪日外国人の利用も増加した。9月に始まったラグビーワールドカップの開催に合わせ、さらなる外国人利用客の増加を想定し、同月から新宿駅に異動し、管理職である主任に「昇格」した。京王電鉄も「今後東京オリンピックもあり、外国語対応に期待している」と話す。

少子高齢化が進む近年、鉄道各社でも駅の人手不足が大きな問題となっている。早朝から深夜まで利用者の安全を確保しつつ、乗り換えや切符販売などの利用サポート、駅構内や周辺の案内サービスなどを提供しなければならない。日本の鉄道利用に不慣れな外国人観光客や障害者など、「交通弱者」への対応も求められており、業務は多忙で広範囲にわたる。

鉄道関連の業務の中で、自動改札機や券売機などすでに自動化されている業務も数多くあるが、人手不足もあって、特に駅案内業務の自動化ニーズは非常に高い。

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