「共同親権」の導入で子どもたちは救われるか 離婚家族、当事者たちの声を聞く
妻が申し立てた2度目の離婚裁判で、離婚が認められ、娘の親権は母親が持つことに。
「娘に対して、私の悪口をひどく吹き込んでいたようなのです。娘はそのたびに“パパはそんな人じゃない”と、嫌な気持ちになったと話していました。
面会交流が終わり引き渡すときに娘は、毎回帰るのを渋るのです。泣きじゃくったこともありました」
娘を妻に引き渡した際、妻の手を振り払い水戸さんの車に乗り込んできた。そして“パパ、早く車を動かして”と叫ぶ娘の声を聞き、水戸さんはとっさの判断で車を発進させ、娘を家に連れ帰った。
それから1年以上、父親のもとで暮らしていたが、親権のある妻は引き渡しを求める。引き渡しをしない親が引き渡すまでの間、1日ごとに裁判所に定められた金額を支払わなければならなかった。
「子どもを返還しない場合は1日3万円の罰金が科せられるのです。致し方なく、娘を妻のもとへ連れて行きました」
娘はその3日後、再び自分の意思で、父親と祖母が住む家に帰ってきたという。
その後、元妻とは和解。そのかわり、子どもには会わせることを条件としていた。
「娘が母親に会いたくないと言っているんです。私としては母親を嫌いにならない方向にもっていきたいと思っています。子どもには、パパもママも大好きでいてほしいんです。パパとママは娘のことを愛している、宝物だと思っていることを知ってほしい」
そう胸の内の葛藤を明かしてくれた。
夫婦と親子の関係は別もの
青木教授によれば、ノルウェーでは離婚裁判になると子どもは父母から引き離され、里親委託養育になる。そのため、子どもと離れたくない父母は、裁判にならないように離婚を進めていくという。
離婚経験があり、“離婚後子育て応援弁護士”として活動する稲坂将成法律事務所の古賀礼子弁護士も、元夫と元妻、元夫と子どもの関係は別ものと訴える。
すでに元夫とは離婚が成立していたが、養育費の見直しの提案をすると“小学校は義務教育だからお金はかからない”と元夫は渋りはじめた。