このような思考グセは、性格や身を置いてきた環境に左右されることも多いのですが、意識的に変えていくことが可能です。
物事には多面性があり、すべてのことによい面と悪い面が存在します。よい面を見るようにする、自分にとってよい解釈をする、これがよかったのだという目的を見いだすといった意識が大切で、最初のうちは「とはいっても」と自分に反論したくなることもあると思いますが、続けていくことが肝心です。
「べき」思考を再考する
もう1つ、私たちの心を不快にさせるとらえ方が「べき」思考です。言葉のとおり「○○すべき」「こうあるべき」という強い呪縛のような思考のことです。
自分を責めるタイプの人は、この思考が自分に対して働きます。「○○すべき」「こうあるべき」と自らの行動に対して、必要以上にプレッシャーをかけ、がんじがらめになってしまいがちです。その結果、思いどおりにならなかったときに、さらに自分を責めてしまうという繰り返しになり、苦しむ傾向があります。
また、他人を責めるタイプの人は、「他人」に対して、この思考が働きます。すると、思いどおりにならない相手に対して、腹を立てたり、批判的になりやすいものです。
いずれにしても、物事に対しての融通が利きにくく、気持ちのゆとりがありません。
相談業務の中で、婚活の相談を受けることもあるのですが、女性の場合は、「べき」に苦しんでいる方が多くみられます。
「子どもが欲しいので、できるだけ早く結婚すべき」だと思い、そのためには、出会いがないので、「結婚相談所に登録すべき」だと思っています。でも、すごく抵抗があって悩んでいる。悩んでいても時間が過ぎていくだけで何も変わらないので、「行動を起こすべき」だといろいろ調べているのだけれど、どうしても先に進めない。
親にも言われているし、自分でも「結婚はするべき」だと考えてる、でも「本当は婚活なんてしたくない」と涙ながらに訴えられることも少なくありません。「べき」思考にとらわれて、自分の気持ちに向き合わないので、自分自身の中での整合性が取れずに心のバランスを崩しているのです。
悩みごとの多くは「やるべき」ことはわかっているのだけれど「やりたくない」「やる気が起きない」という思考と感情のギャップです。
気持ちがついていかないと行動に移すのは、至難の業です。反対に、気持ちがあれば、行動を起こすことなんて簡単です。何かをしようとするときに「仕方がない」という理由付けや、できない「言い訳」を考え始める時点で、それは「やりたくないこと」「気が向かないこと」なのです。
たとえば、予定のないお休みの日に友人から会わないかと連絡が入ったと仮定します。これから身支度をするのが面倒だなと思いつつも、会いたい気持ちが強ければ、即行動に移すと思いますし、そうでなければ、「明日早いから」とか「今週は疲れているから」などと、即座に断る理由を探し始めるでしょう。
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