韓国世論反発「何のための合同チームなのか」 平和演出を狙う韓国政府に対して反発の声
「オリンピックから政治的利益を得るため、政府が職権乱用しているとしか思えない」と署名参加者はコメント。「夢の舞台であるオリンピックに出場しようと努力を重ねてきた韓国選手からベンチ入り枠を奪うことはまったくフェアではない」
韓国のテレビ局SBSなどが11日発表した世論調査によると、70%超が合同チーム結成に反対と回答。一方、北朝鮮の五輪参加については80%以上が賛成と答えている。
文化体育観光省は、韓国チームの「不利益が最小限となるよう」、この件についてIOCと協議していると回答した。
「世論を考慮に入れた上で、最終的な決断を下す」と、同省のある高官はロイターに語った。統一省はコメントを控えた。
国内分裂
こうした国民の反発は、韓国からの一方的な支援となりがちな北朝鮮に対する外交が、いかに国内を分断させ論争の火種であり続けているかを示している。朝鮮戦争(1950─53年)が平和条約ではなく休戦協定で終結したため、厳密に言えば、両国はいまだ戦争状態にある。
リベラルな文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領は、10年近くに及ぶ保守政権下で凍結された北朝鮮との関係を改善したいと望んでおり、開会式や閉会式での合同入場や、1つの国家として一緒に競技に臨む合同チーム結成など、五輪で南北融和を示すことを提案している。
だが、韓国アイスホッケー連盟は体育省から「準備をしろ」と言われた以外に詳細は伝えられていないと、前出の連盟幹部は明かす。
「正直言って、何が起きているのかさっぱり分からない。北朝鮮チームと話す手段がないため、『準備をしろ』というのがどういう意味なのか見当もつかない」
選手の登録枠や試合戦略、合同チームを率いるヘッドコーチの任命など、解決しなければならない問題は山積している。
「こうした極めて重要かつ基本的な問題は、何一つ話し合われていない。それなのに、3週間後にはオリンピックで初戦を迎える。信じられるか。まったくナンセンスだ」と同幹部は語った。