ブーツが売れない?「履きやすさ」重視の逆風 ブームが過ぎ去り、スニーカー人気も痛手に

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ブーツが苦戦する一方、スニーカー人気は根強い(撮影:今井康一)

節約志向が続く消費環境下にありながら、スニーカーの品ぞろえに強みを持つABCマートは、2018年2月期も過去最高益を更新する見通しだ。靴を中心とした通販サイトを運営するロコンドの田中裕輔社長は、「ニューバランスやナイキなどの高価格帯スニーカーの人気は根強く、子ども用の4000~5000円のスニーカーも好調だ」と述べる。

矢野経済研究所の調査によると、国内の靴・履物小売市場は過去10年間、1兆4000億円前後をほぼ横ばいで推移してきた。ただ内訳を見ると、2005年度は市場全体の32.1%を占めていた婦人靴が、2015年度は24.7%に減少。一方、スポーツシューズの構成比率は10年間で32.8%から43.8%にまで拡大しており、婦人靴はスニーカーの勢いに押されている状況だ。

「履きやすさ」が重要に

スニーカーブームの影響も受け、最近は婦人靴の中でも「履きやすさ」を重視する傾向が顕著になった。「昔、ファッションは我慢と言われたが、今は楽な履き心地が求められる。見た目はパンプスでも、スニーカーのような履き心地を実現した商品は婦人靴の売れ筋となっている」(ジーフットの渡辺氏)。

シュープラザや東京靴流通センターを運営するチヨダが2017年2月に発売したオリジナル商品のパンプス「fuwaraku(フワラク)」は、柔らかい中敷きクッションを入れるなど、楽に歩ける機能性を追求し、大ヒット商品となった。

ジーフットでも、「楽に履けてきれいに見える」をコンセプトに、複数のデザインを取りそろえたパンプス「らくらくビューティー」シリーズが足元で好調に推移している。

これらのパンプスが婦人靴売り場で存在感を高める一方、足を覆う面積が広いブーツは、楽な履き心地を求める消費者のニーズと合致しづらい点も、売り上げが伸び悩む一因になっているようだ。

もちろん流行が完全に消えたわけではなく、トレンドへの感度が高い一部の層では、ニーハイブーツなどの人気が復調する兆しもある。ただ市場全体では、履きやすく疲れにくい機能性を重視する傾向が強まっており、ブーツ復活への道筋は当面見えそうにない。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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