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「内定承諾書」を書いた後の辞退は可能か? 売り手市場でせかす採用担当者への対処法

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  • 翠 洋 社会保険労務士

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会社から入社を強いられたとしても悩むことはない(写真:anzphoto_Inc, / PIXTA)

就職活動も佳境を迎えつつありますが、企業の内定学生に対する”拘束”が問題になっています。厚生労働省が5月19日に発表した平成28年度(2016年度)大学等卒業者の就職状況調査によれば、大学生の就職内定率は97.6%と前年同期比0.3ポイント上昇し、調査開始以降、過去最高となりました。

また、リクルートキャリア就職みらい研究所が5月29日に発表した5月1日時点での大学生の就職内定率(確定値)は35.1%で、前年同月の25.0%と比べて10.1ポイント高くなっています。

企業の人手不足を背景に空前の売り手市場となっている中で、学生は複数の内定を得られやすくなる半面、企業側は苦労して採用した内定学生をあの手この手で引き止めなくてはならなくなっています。しかし、企業は法的に、内定者を拘束できるのでしょうか?

内定承諾書に特別な効力はない

内定段階ではまだ就職しているわけではありません。とすると、法的に内定とは、どのような状態のことをいうのでしょうか?

この点については最高裁判所昭和54年(1979年)7月20日第二小法廷判決(大日本印刷事件)が有名です。この裁判では新卒の内定取り消しの適法性について争われましたが、最高裁は採用内定通知の時点ですでに労働契約が成立しており、一方的な内定取り消しは無効であると判示しました。

内定段階での労働契約は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれます。新卒採用では卒業を条件に4月1日を始期として働き始めるのが一般的であり、卒業できないなどの特別な事情がある場合は解約が可能だからです。

では労働契約とは何でしょうか? 労働契約法6条には「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者および使用者が合意することによって成立する」と規定されています。契約は、原則として両当事者が合意すれば、書面でなくても口頭でも成立します。

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【憲法は職業選択の自由を保障】

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