「消費増税は無視」「繰り上げ返済しない」
賢く借りて賢く返す住宅ローンとは?
「頭金を貯めているうちに金利が今より1%上昇したら、3000万円のローンで支払額は500万円以上多くなってしまいます。でも、税金が2%上がったところで、消費税がかかるのは建物だけ。たとえ2000万円の上等な建物を建てても、40万円しか増えません。気にすべきなのは、消費増税ではなく金利なんです。
消費税がかかるのが建物だけという点でいえば、土地と建物の価格割合は戸建が約2:1、マンションでは1:2なので、一戸建てのほうが増税の影響は受けにくくなります。しかも、今は『長期優良住宅』『低炭素住宅』など環境に配慮した建売住宅も増えています。これらの住宅の場合、『住宅ローン控除』が100万円上乗せされます。また、『フラット35』を借りる場合、当初の10年間は適用金利が0.3%引き下げられる『フラット35S(金利Aプラン)』が利用できるので、金利面でも優遇されます。住みたい地域に『環境配慮型』の住宅があれば検討してもいいと思います」
ここまで散々、現在の住宅ローンの優位性を語ってきたが、最後に小言を一つ。それは、金融機関が貸してくれるローン金額と、個人が返せる金額には開きがあるということだ。むろん、前者のほうが金額が大きくなりやすく、借りたはいいがのちのちローンに苦しむ人も少なくない。これには山口氏も同意する。
「最初に『親のすねをかじってでも』と言いましたが、もちろん、買わないほうがいい人もいます。それは、今まで貯金ができなかった、車などで多額の借入金がある、毎月赤字でボーナスで帳尻を合わせている……、こういう人はいくら低金利でも住宅ローンは組まないほうがいい。これまで100万円も貯められなかった人が、今後2000万、3000万円の借金を返せるでしょうか。共働きなら、毎月の手取りから2割程度を貯めてこられたカップルでないと、住宅購入後の家計管理は難しいと思います」
とはいえ、ここまで金利が下がる時期は、そうはない。賢くローン設計をして、より自分の希望に近い住宅の購入を目指したい。