
駐車場代がかからないことも
戸建て派に響いている
2015年11月に内閣府が公表した「住生活に関する世論調査」によると、住宅を購入するなら「新築一戸建て」と答えた人の割合は63%。「中古の一戸建て」と答えた6.1%も加えると、実に、住宅購入希望者の約7割が「一戸建てに住みたい」と考えていることが明らかになった。
なぜ、一戸建てが欲しいのか。同調査で「中古マンション」より「中古の一戸建て」を選ぶ理由を聞いたところ、「庭付きの家に住みたいから」が41%で断トツのトップ。2位が「マンションは管理費がかかるから」(19%)。以下「マンションより広い住宅に住みたいから」(18%)、「マンションよりリフォームしやすいから」(18%)と続く。
さらなる理由を探るべく、東洋経済でも独自調査を実施したところ、トップはやはり「庭付きの家がいいから」で42.8%。具体的には「庭で作った野菜をご近所さんと一緒にバーベキューしたり、お花や野菜の交換をしたり、お庭越しにおしゃべりしたりできる」「庭付きなら、堂々とペットを飼える。子どもが騒いでも隣近所に迷惑がかからないし、友達を気にせず呼べるから」などの声があった。
2位の「駐車場代がいらないから」も40.4%と高い得票率だ。駐車場代や管理費、修繕積立費がかからないのは一戸建てに住むメリットの代表例だが、これは地価の高い都市部だけの意見ではなく全国的な傾向となった。
| 一戸建てに住みたい理由ベスト10 | 得票率 | |
|---|---|---|
| 第1位 | 庭付きの家がいいから(BBQ、家庭菜園、ガーデニング等、庭がないとできないことができる) | 42.8% |
| 第2位 | 駐車場代がいらないから | 40.4% |
| 第3位 | マンションとはリラックスの深さが違うから | 36.8% |
| 第4位 | 戸建てで生まれ育ったから | 36.5% |
| 第5位 | ペットを飼いやすいから | 30.1% |
| 第6位 | 家から車までの距離が近いから | 28.2% |
| 第7位 | 日当たりがいいから | 27.6% |
| 第8位 | 資産として考えやすいから | 26.0% |
| 第9位 | 子どもの騒音を気にしなくていいから | 24.6% |
| 第10位 | マンションは管理組合ルールがわずらわしいから | 21.8% |
3位には意外にも「マンションとはリラックスの深さが違うから」(36.8%)が入った。自分の土地の上に建つ自分の家でこそ、心が落ち着けるということなのだろう。回答者の中には、マンションのルールを嫌っている人もいるようで、「守らなければいけない規則や、皆で相談して決めなければならないことが多くてわずらわしい」という意見はどの年齢層にも多い。また、土地を所有することへの安心感も強いようで、「地に足をつけて生きたい」「土のある暮らしが性に合ってる。緑の潤いが欲しい」という声もあった。
事実、国土交通省の「平成27年度土地問題に関する国民の意識調査」によると、79.5%は自分の住む住宅について「土地・建物については両方所有したい」と答えていることからも、日本人の中には「土の上に住みたい」という潜在意識が強く根付いている。
一戸建ては、マンションよりも買いやすく
マンションよりも売りやすい
マンションとの価格差も外せないポイントだ。住宅ジャーナリストの山下和之氏は「新築一戸建ては高いという先入観があるが、それは間違い」と一刀両断する。資材や人件費の高騰、外国人の投機マネーの影響などで新築マンションの価格が高止まりの状態にある今、相対的に一戸建てにコストメリットが生じるという追い風も吹く。
「首都圏の新築一戸建ての成約価格は07年が4023万円だったのに対して、15年は3415万円(東日本不動産流通機構)と、600万円以上も安くなっている。一方、15年の首都圏の新築マンションの平均価格は5518万円(不動産経済研究所)なので、比較すれば、2000万円以上の価格差があるのです。ここ10数年に建てられた一戸建ては構造、設備ともに以前とは比べものにならないほど進化しているので、マンションを検討していた人が一戸建てに乗り換えるケースも多くあります」
現在、住宅ローンは日銀のマイナス金利導入に伴い、過去最低の金利を維持し続けている。その恩恵を受けやすいのも新築一戸建ての特長だ。新築マンションは、竣工の1年以上前に部屋を購入する「青田買い」が基本。それゆえ、契約時に今の金利で借りられる保証はない。だが、新築一戸建ての建売住宅であれば、すでに完成している物件をすぐに購入するので、翌月の金利でローンを組むことが可能になる。(※未完成の建売住宅の場合、タイムラグが発生することもある)
これら購入時のメリットに加え、売却時に重要となる「資産価値」についても、興味深いデータがある。一戸建ての場合、建物の資産価値は20年でゼロになるとされるが、実際のデータはそうはなっていない。築0~5年の中古一戸建ては3710万円で成約し、そこから緩やかに下降し、築6~10年で3657万円と約1.4%しか下がらない。築21~25年でも、2681万円を維持している。一方、中古マンションは築0~5年だと4739万円で成約しているのに、築21~25年になると1729万円まで下落。約3分の1になる。
「この数値はあくまで平均値ですが、空室率が高い、賃貸率が高いなどのマンションは資産価値がガクっと落ち、いざ売ろうとしても売れません。でも一戸建てならば、最後は土地が残るので一定の資産価値が保たれます。加えて、修繕などが自分でできるので、適切に管理すれば、建物の価値も維持できます」(前出・山下氏)
メーカーの自助努力と市場環境の変化により、適正価格で高品質になっている一戸建て。しかも、実は中古価格も下落しにくい。マンションよりも高い、売りにくい、という先入観を捨ててじっくり吟味すれば「理想の家」に出合える可能性が増えそうだ。


