資産価値のある「建売住宅」の選び方 選び方次第で「長期優良住宅」の取得も可能に

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ローコストで新築一戸建てが手に入る「建売住宅」は、一見「どこで購入しても同じようなもの」と思われがちだが、決してそうではない。地盤や施工、住み心地や購入後の保証など、昨今の建売住宅は、ホームメーカーによってその充実度もさまざま。選び方次第では、価格以上に資産価値のある優良住宅を手に入れることだってできるのだ。そのためには、以下の五箇条は最低限おさえておいてほしい。

東栄住宅取締役
佐藤千尋

「建売住宅の寿命は30年」と言われていたのは、今となっては昔の話。今や日本の住宅市場は「量から質」の時代と言われ、少子高齢化が進む昨今、国の方針としても良質な住宅ストックへの入れ替えが推し進められている。

「価格はお客様の手の届く範囲に抑えながらも、いかに質の高い住宅を供給するかがホームメーカーの使命」と語るのは、分譲住宅の“ブルーミングガーデン”を手掛ける東栄住宅の佐藤千尋取締役。

築浅の中古戸建てを探す人の一つの指標が、長期優良住宅であるかどうか。資産価値を上げるためにも認定を受けた物件を選びたい

実際、建築基準法にのっとって建てられた昨今の住宅は木造でもかなり丈夫だが、ホームメーカー側が苦労するのは、物件が「長期優良住宅」に認定されることだという。

2009年から開始された「長期優良住宅」の認定制度は、耐震性・劣化対策・維持管理性・住戸面積・省エネルギー性・居住環境・維持保全管理といった7つ の技術基準をクリアした物件が取得できるもので、平たく言えば「国が認めた長く使える良質な家」。認定されれば、買う側は住宅ローン減税や固定資産税の50%減額、フラット35Sによる金利優遇といった金銭的メリットを受けられる。いざ売却する際も、長期優良住宅であることは評価に大きな影響が出るため要チェックだ。

つまり、建売住宅を選ぶ際にも、長期優良住宅かどうかを一つの重要な指標にしたいところだ。

東日本大震災以降、いつどこで発生してもおかしくない大地震。住宅選びの際は予期せぬ事態に備え「耐震等級」をチェックしておきたい。耐震等級とは住宅の性能の指針となる「住宅性能表示」の一つであり、等級1から等級3まで、3段階に分けられる。耐震等級1は建築基準法を満たす耐震性能で、耐震等級3は「数百年に一度の地震に耐える力の1.5倍」の耐震力。ちなみに前項の長期優良住宅に認定されるには耐震等級2以上が条件となる。

「最高等級3を取得するためには建物の強化と地盤の調査、両面で多くの手間やコストがかかるので、ここにコストをかけない業者もいます」と佐藤取締役は語る。

耐震等級を上げるには、建物の基礎や耐力壁の強化、柱や梁、筋交いなどの部材の増強が必要になる。3階建てや狭小住宅などは耐震等級が低くなりがちなので留意しておきたい。

写真はサウンディング試験の様子。建物がいくら頑丈でも、地盤が弱ければ傾くことだってありうる

さらにチェックしたいのは地盤だ。建物が強くても地盤沈下が生じるような土地では意味がない。しっかりしたホームメーカーであれば、古地図で地歴を調べるのはもちろん、サウンディングやボーリングによる調査を実施し、問題があれば地盤の改良工事までしている。どこまで地盤調査を行っているのか、見えないところだからこそ、しっかり担当者に確認したい。

「住宅性能評価」とは、いわば住宅の性能を表した「成績表」のようなもの。これまでは消費者は各メーカーの「厳正な社内基準に基づいて……」といった謳い文句を聞いて、なんとなく「大丈夫だろう」と思い込み、住宅を選んできた。そうした根拠のない基準を是正し、誰もが容易に購入前の住宅を比較できるようにしたのが「住宅性能評価」だ。

評価の項目は、構造の安定、劣化の軽減、維持管理への配慮、温熱環境・エネルギー消費量といった必須項目をはじめ、合計10分野。国が認めた外部評価員が評価を行い、その費用はホームメーカーが負う。実は評価書には、図面と申請書類を提出する「設計住宅性能評価」と、建設中の現場チェックを受ける「建設住宅性能評価」の2種類がある。評価を受けるかどうかは住宅供給者側の任意であり、図面での評価書は多くのメーカーが取得しているが、建売を購入する際は必ず「建設住宅性能評価」まで両方取得している住宅を選んでほしい。

万一トラブルが発生した場合も、ダブルで評価を取得している住宅なら紛争処理機関が対応してくれる。評価書があるのとないのとでは大違いだ。

次ページ購入の2~3年前から内見をしておきたい