「病院の患者」と「デパートの客」は同じなのか

俳句を詠ませる面接、試験官の意図は

(写真:tooru sasaki / PIXTA)

ここまでの連載に目を通された読者さんなら、医学部入試には、受験生が家庭でどのような関わりをされてきたか、どのような家庭教育を受けてきたかを探る問題が織り込まれていることに気付かれたかもしれない。

ただ一方で、やや専門的で、医学部に進んでから考えるのでも遅くないような質問も頻繁になされていると言っていい。

医師ー患者間の関係についてどう思うか

たとえば、今年の日本大学医学部の面接試験で問われた「医師ー患者間の関係についてどう思うか」という質問がまさにそれで、答えるのはかなり難しい。とりあえず答えるならば、以下のようなアプローチがひとつの回答例である。

「望ましい医師ー患者関係の構築には、医師と患者の双方向から十分な情報が流れる必要があります。医師が持つ科学の根拠にもとづく医学的情報と、患者の人生観を擦り合わせたうえで、双方の合意形成を目指す必要があります。その姿勢があり初めて、患者が合意事項に同意を与える枠組みが形成されると考えます。私は患者中心の医療実現に医師と患者による共同決定が必要だと考えます」

 

うーん、少々立派な答えすぎるかもしれない。もう少し簡単な回答であれば、「医療は医師ー患者双方が協調して対等な立場から作り上げて行くものです。そのように考えた場合、どちらか一方をお医者様と呼ぶ、患者様と呼ぶことには違和感があります」などでも許されるだろう。

実際、日本大学医学部を受験した教え子が、後者の簡略版を答えた。だが教え子のケースでは、「ああそう、つまり君はデパートのお客さんとは違う感覚で言ってるんだね?」と、さらに突っ込まれたという。この教え子は最終合格したものの、面接官のこの言葉の意味が分からぬまま、ポカーンとしていたそうだ。これではいけない。

つまりこういうことである。デパートの従業員と顧客の関係は、商品を購入していただくという点で、あくまでお客様なのである。この点が患者とは違うということであろう。この程度のリアクションなら対応可能であろうが、次のような質問が来たらどうするべきだろう。

「医師ー患者間のコミユニケーション」は、「デパートの店員ー顧客間のコミュ二ケーション」とどう違うか述べよ。

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