「コートの男」で小論文…何を書けば受かる? イマドキの医学部入試で求められる資質とは

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写真は2015年度順天堂大学医学部入学試験の小論文問題で示されたものです

「週刊東洋経済」3月21日号の特集「医学部・医者ウラとオモテ」に近時の医学部入試の傾向を書いた。今春の入学試験の興味深い問題を取り上げつつ、小論文・面接試験、英語、生物について簡単な解説を試みたのだが、その反響の大きさには大変驚いた。そこで本連載では、各校の試験についてもう少し詳しく考察していきたいと思う。

取り上げた中でもいちばんインパクトが強かったのは、順天堂大学医学部一般入試の小論文試験のようである。今日は今春の入試で実際に出題された問題を紹介しよう。冒頭の写真をご覧いただきたい。

ロンドンのターミナル、キングス・クロス駅。下を向きながら階段を上る長いコートを着た男性の後姿がある。構内は少し暗いが、階下には色鮮やかな赤い風船が2個、2本の糸で結ばれ浮いている。ここに添えられている問題文はこうだ。「キングス・クロス駅の写真です。あなたの感じるところを800字以内で述べなさい」。

求められる資質がわかれば、難問も怖くない!

「週刊東洋経済」2015年3月21日号では、医学部受験、大学病院、そして医師という仕事の実態を探っている。

「週刊東洋経済」を目にした親御さん(受験生ではない!)から尋ねられたのは、実際の写真はどういう描写なのか、合格するにはどんな答えを書く必要があるか、詳しく教えて欲しいというものであった。

確かに一見奇妙な問題である。だが、今医療の世界で医療人として求められる資質が見えてくると、入試で出題されるいかなる難問も、何とかなりそうだという気分になれるのである。つまり、出題者が何ゆえにこの問を投げかけたのかが推理できれば何ら怖くない。

この写真問題も、普通に考えれば800字程度の小論文を即座にまとめるのは難しいと言えそうだ。だが、実体はそうでもない。まず安心していただきたいのは、この問題には数学の解のように一つの明確な答えがあるわけではないということである。

つまり、背中が写るこの男性が今どこに向かおうとしているのか、この男性の目的が何であるか、この男性と自分を重ね合わせてみるとどうなるかなど、様々に思い巡らしたことを展開することが許されるのだ。

ただ、解答作成にあたり、一つだけ配慮しなければならない重要ポイントがある。それは、本問が「医学部の入学試験」であるという点だ。出題者側は医学を学ぶにふさわしい人間、医師としてふさわしい人間を選抜することを目的としている以上、これは見過ごせない。

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