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地方鉄道の「カリスマ社長」が新任地で挑む課題 鉄道運営の「仕組み」を変える必要がある

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  • 池口 英司 鉄道ライター、カメラマン
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――鳥塚さんがいすみ鉄道で仕掛けてきた「ムーミン列車」「レストラン・キハ」のような斬新な企画にも期待したくなります。

ただ、これからすぐに新しい企画列車の運行が開始されるようなことにはならないと思います。まずは経営の健全化について方法を探っていかなければなりません。それでも、現在のわが国の鉄道を取り巻く環境を考えますと、地方ローカル線が黒字を計上するのはなかなか難しい。それであれば、まず私たちにできることは、鉄道が運営される「仕組みを変えてゆく」ということになります。

「ムーミン列車」:鳥塚氏がいすみ鉄道社長を務めていた2009年に運行を開始した、車両の内外を「ムーミン」のキャラクターで飾った列車。観光客の人気を呼び、いすみ鉄道の知名度を高めた。2019年3月で運行を終えた。
「レストラン・キハ」:昭和時代に製造された国鉄形ディーゼルカーの車内で、本格的なイタリア料理のコースなどを提供するレストラン列車。「キハ」はディーゼルカー(気動車)を示す記号。

鉄道の仕組みを変えてゆきたい

――「鉄道の運営の仕組みを変える」というのは、どのようなことなのでしょうか?

これは法を改正するとか、そのようなことではなく、鉄道事業者、そして利用者が「えちごトキめき鉄道は自分たちの鉄道である」という意識を強く持つようにするということです。

えちごトキめき鉄道の車両。左から妙高はねうまラインのET127系、日本海ひすいラインのET122系、リゾート列車「えちごトキめきリゾート雪月花」(写真:えちごトキめき鉄道)

えちごトキめき鉄道は新幹線の開業で廃止になった並行在来線を上から押しつけられた形で存続させているのではなく、自分たちの手によって運営している鉄道会社であり、地方にとっての資産であるという考え方を明確にしてゆく。

その動きが明確になれば、地方自治体、あるいは国との関わり方も、今までとは異なったものになってくる。お金がないお金がないと、ただ悲鳴を上げ続けるのではなく、どうすればお金を作ることができるのかを考えられるようになる。

実際に私がえちごトキめき鉄道に赴任してみますと、すでに地域の人たちの「マイレール意識」は非常に強いことがわかりました。地元の市町にあいさつに行くと「私の父は国鉄に勤めていました」と、開口一番あいさつをしてくれる人もいる。直江津は「鉄道の町」として名を馳せてきましたから、今でも、親御さん、親戚に鉄道に関わる仕事をしてきたという人がたくさんいらっしゃるのですね。

そういった方々は、みな鉄道に対して強い思い入れを抱いている。ところが国鉄がJRに変わったら、鉄道にいっさい関われなくなってしまった。それが第三セクター鉄道のえちごトキめき鉄道に変わって、「俺たちの鉄道が戻ってきた」という意識を誰もが持つようになった。今はそう感じています。

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【新駅のプロジェクトが進行中】

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