JR高崎線の火災事故は、なぜ長期化したのか 全線再開まで3日もかかったトラブルの原因

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JR高崎線は3月15日に籠原駅構内で起きた火災の影響で、一部区間で17日午後まで運休が続いた(写真:hide0714/PIXTA)

2016年3月15日午前4時頃、JR高崎線の籠原(かごはら)駅構内で火災が発生し、構内に電気を供給する配電盤、構内の信号やポイントなどを管理する連動装置、踏切保安装置などが焼損した。このために、同線の熊谷~本庄間は15日の終日運休、そして復旧に手間取る中で熊谷~岡部間は17日の午後1時まで全面運休という異例の事態となった。同線に直通している湘南新宿ラインと上野東京ラインも大きく混乱した。

原因は、電線の絶縁体(碍子=がいし)が破損し、大きな電流が漏電したということだが、JR東日本の発表によれば、碍子をつなぐボルト(直径19ミリ)が腐食し折れていたという。2015年5月の定期点検では異常はなかったということだが、同社は首都圏にある同種の絶縁体約8万個を緊急点検すると発表している。

相次ぐ電化設備のトラブル

JR東日本では、ここ数年、電化設備に関するトラブルが増えている。例えば、2015年4月12日には、山手線の秋葉原~神田間で電化柱の倒壊という事故が起きた。この事故は、一歩間違えば大惨事になる危険なものだが、問題は物理的な「柱が倒れた」という事象であり、点検を徹底すれば済むことだ。

また、その4カ月後の8月4日の晩には、根岸線の横浜~桜木町間で、架線焼損事故が起きた。これも、微妙に電圧の異なる電線が重なる「エアセクション」で停車するというタブーを犯した初歩的なミスである。

だが、今回の籠原駅での火災には、こうした2つの事象より深刻な問題を感じざるを得ない。

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