⑥開票当日の11月4日の午前中、筆者は南部サウスカロライナ州が接戦になっているのを見て、「これはすごい結果になりそうだ……」と予感したものだ。そして実際に、民主党の小児科医アニー・アンドリュースが勝利して、同州初の女性上院議員となることが確定した。
さらに南部の典型的レッドステーツ(共和党優位)であるミシシッピ州は、候補者が49.0%対48.9%という大接戦でまだ結果が出ていない。その隣のルイジアナ州では、共和党候補が勝ったけれどもその差は2%未満だ。
トランプ大統領が住むフロリダ州も、共和党現職がわずか3%差で勝っている。共和党が「ゲリマンダー」(選挙区割り)を仕掛けたことで、黒人有権者が怒って投票率が上昇したからだとする観測あり。もはや南部も、共和党の金城湯池たり得ない。この事実が意味するものは重い。次の2028年選挙において、共和党候補者は「ここは安全」と思って手抜きができる州が限りなく少なくなってしまったのだ。
重要な上院の閣僚人事の承認権も民主党へ、有権者が共和党に「お仕置き」
⑦逆に民主党は、上下両院で予想以上の多くの議席を得た。上院で54議席が確定しているので、身内から最大3人の造反者を出しても法案を通すことができる。上院が有する閣僚人事の承認権も大きな意味を持つ。これだけの議席数があれば、例えば仮にトランプ大統領が誰かをFRB(連邦準備制度理事会)理事に強引に押し込もうとしても通らない。今後は中立的な実務家が登用されることになるだろう。
ジェローム・パウエル前議長は、議長退任後も理事としての任期(2028年1月まで)を残しているけれども、「これなら安心」とばかりに、来年のどこかで退任するのではないだろうか。「お疲れさまでした」と伝えてあげたい。
⑧下院でも民主党は現在240議席を確保し、さらに上乗せがありそうな状態だ。これだけ議席数に差があれば、党内の少数派から「俺たちの言うことを聞かないと造反するぞ」と脅されるリスクはほぼ消える。来年から下院議長に就任するハキーム・ジェフリーズ院内総務は、「こりゃあ楽だ!」と喜んでいるだろう。
逆に言えば、この2年間の共和党は議席差があまりに少なかったために、「少数派の専横」に振り回されて下院議長は苦難の連続だった。現在のマイク・ジョンソン議長は、来年は党の指導部に就かない方針だという。そりゃあそうだろう。少数派は役得も少ないし、「トランプ大統領の叱られ役」を続けるのは誰だって嫌だよねえ。もっとも今回の共和党の大敗は、「有権者がトランプ政権にお灸を据えた」のではなく、「トランプ大統領を止められなかった共和党議会にお仕置きした」との見方もありますぞ。


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