ラックの米田智紀氏(AI技術グループ)も「最も大きく変わるのは、攻撃の採算性」と答えた。偵察、攻撃経路の探索、認証情報の検証、侵入後の調査を低コストで並列に続けられるため、従来なら費用対効果が合わず狙われなかった企業まで攻撃対象に含まれるという。トレンドマイクロの高橋昌也氏(TrendAI シニアスペシャリスト)も、攻撃者は金銭の見返りが見込める相手を狙うが、費用と時間がかからなくなれば、これまで割に合わなかった中小企業も標的に入ると説明した。
NTTセキュリティ・ジャパンのインシデント対応担当者は、採算に加えて参入障壁の低下を挙げた。攻撃の中身が高度になったのではなく、攻撃者に要る技術が下がった。高度な技術を持たない人でも、事前知識なしに攻撃を実行できるようになり、「企業が実際に受ける確率も上がるのはほぼ間違いない」と答えた。
狙われているのは古い穴
情報処理推進機構(IPA)は、AIが編み出した新しい攻撃の型は現時点で承知していないとしたうえで、「既知の脆弱性を突く従来型の攻撃が、AIによって速く大量に、津波のように押し寄せている状況」と表現した。
情報通信研究機構(NICT)は10月13日の注意喚起で、Google Playの日本向けアプリを解析して接続先サーバーの仕様を調べ、サーバーごとに攻撃を変える手口を「A2B攻撃」と名付けた。
主な対象は、サーバーに意図しない通信をさせる不備、外部から命令を実行できる不備、データベースへの不正な命令、他人のデータを見られる認可の不備の4種類で、いずれも以前から知られた類型だ。JPCERT/CCも15日、攻撃者のサーバーからAndroidアプリを解析して特定したAPI(アプリとサーバーの通信口)の脆弱性を探った痕跡が見つかったと公表している。


※ログイン後、コメント入力が可能です。