トレンドマイクロの研究チームは23日、攻撃者が公開状態のまま放置していたサーバーのファイルから、日本を最大の標的とする3つの攻撃基盤を解析した結果を公開した。うち1つでは、オープンソースのAI侵入ツール「CyberStrikeAI」が偵察から報告書作成までの工程を担っていたことを、作業記録と管理画面から確認した。それでも侵入口は公開された旧式のシステムや設定の不備で、AIが変えたのは攻撃の規模と速度であって侵入口ではない、と同チームは結論づけている。
痕跡は被害企業には残りにくい
佐々木氏は、どの攻撃にもAIは既に使われていると想定しつつ、「被害現場の痕跡からその証拠をつかむことは基本的にできません」と答えた。証拠が得られるのは、AIサービスの提供側が不正利用を検知したときか、攻撃者が使ったサーバーにAIエージェントや操作ログが残っていたときに限られるという。
NTTセキュリティ・ジャパンの担当者も、今年対応した事案で「明確にAIエージェントと判断できる事案はありませんでした」と答えた。AIも世の中にある攻撃ツールを使うため、痕跡だけを見れば人間がツールを使った攻撃と大きくは変わらない。違いが出るとすれば、情報収集から認証情報の窃取、社内の他のサーバーへの侵入、持ち出しまでにかかる時間の短さや、用意されたものとは思えない長いコマンドが短時間に大量に実行されている点だという。
JPCERT/CCが確認したAIの利用も、被害企業ではなく攻撃者側のサーバーから確認したものだ。複数の組織と連携して攻撃に使われた可能性のあるインフラを調べ、15日に「攻撃者がAIを利用して、既知の脆弱性のスキャンやAPI経由での攻撃などを実施していたことを確認しました」と公表した。23日の注意喚起ではCairn、CyberStrikeAI、ARTEXという3つのツール名を挙げている。
このうちARTEXとCyberStrikeAIは、AIに弱点探しから侵入までを自動でさせるソフトで、企業が自社システムを検査する目的でオープンソースとして公開されていた。誰でも入手できるため、攻撃者はそれをそのまま攻撃に転用した。日本では19日にGMOサイバーセキュリティ byイエラエが、ARTEXを使うサーバー6台が日本企業を狙っていたと発表している。


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