最近は展示会などでも、AI生成の動画を用いたプレゼンテーションが増えているという。ぬいぐるみの「ポン太」とは真逆の存在だ。だが、実演販売士として全国を飛び回る中澤さんは、ポン太を操りながら「対面営業の価値も上がりまくっているんだ!」としゃべらせる。
「展示会にいらっしゃるようなお客様は、既にAIで下調べをされているので、とても詳しいんですよね。世の中に情報はあふれているし、AIに聞けば答えてくれる。だからこそ、感情や体験を手渡せる対面営業が見直されつつあるんだなと、肌で感じています」
「情報は忘れますけど、感情は残りますから」と中澤さんはいう。3日前の夕飯を覚えていない人でも、初任給で買ったものや、初めて告白した日のことは覚えている。情報に興味がない子どもたちも、面白そうなぬいぐるみには寄ってくる。
「お客様のお困りごとも『感情』のひとつでしょう。お困りごとにしっかり寄り添って、2年後3年後のことも考えて提案してくれる営業担当がいたら、『この人から買いたい』と思うじゃないですか。AIがいくら発達しても、そうした人と人のつながりはずっと残ると思うんですよね」
原点は「心の交流がしたい」
AIに真似できないこととして、中澤さんは「お客様への共感」を挙げる。
確かに、AIはよく「わかります」と答えてくるが、冷静に考えるとあまり説得力がない。生身で経験したわけではないし、私たちと同じ時代を生きてきたわけでもない。
「実演販売では、商品を説明しながら『え~お子さんが3人いて!? もう怪獣のように食べる? じゃあ毎日料理大変じゃないですか……!』とお客様に寄り添っていきます。『この人は私の苦労をわかってくれている』と共感してもらい、徐々に距離を縮めて、最終的に『私が欲しかったものかもしれない』とまで思ってもらうのが、実演販売の醍醐味ですね」


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