そして、あと3割が「企業向けセミナーの講師」。展示会で実演をしているうちに、「うちの社員にこの売り方を学ばせたい」と、お声がかかるようになったそうだ。
「化粧品、飲料、家電など、クライアントの業種業態はさまざまですね。特にコロナ以降は、オンラインで提案活動をする機会も増えたことで、『画面越しでのプレゼンスキル』を重視される企業が増えています」
他にも、実演販売風の映像の監修や、SNS運用の「中の人」も担当しているという中澤さん。さすがモノ売りのプロ、自身の売り込みにも抜かりがないですね。
「いえいえ! 実は私、営業をしたことがないんです。実演を見た方が『あの人なに?』と興味を持ってくれて、後日ご指名をいただいて……と、ご縁がつながって今に至ります。セミナーの講師をするなんて、この仕事を始めたころは考えもしませんでしたから」
あえて専門用語を使い、見込み顧客だけを残す
イベントでの実演の依頼を受けたとき、中澤さんがまずやることは「立て付けの確認」だという。たとえば目的が「商品PR」か「見込み顧客の獲得」かで、アプローチがまったく異なるのだそう。
「商品をPRして、最後にお客様にアンケートに答えてもらうという流れなら、たくさんデータが集まるように分母を最大化するのがゴールです。実演販売士は人を寄せてなんぼの仕事。とにかく人が集まるように、ポップな内容で台本を考えます」
商品の説明では専門用語は使わない。頭上に「?」が灯った瞬間に、人は離れてしまうからだ。わかりやすい言葉に言い換え、アピールポイントを3つ程度に絞る。「私の経験上、人が立ったまま話を聞いていられるのは7分が限界」(中澤さん)なので、その半分より短い3分ほどで切り上げる。
一方、見込み顧客の獲得が目的の場合、ただ人を集めるだけでは不十分なのだそう。情報収集が目的な人など、買う気のない人まで集まってしまうからだ。
そこで中澤さんは、話術で客を「ふるい」にかける。
「途中からあえて専門用語を使ったり、7分をフルに使って長めに構成したりするんです。興味がない人は離れていきますが、真剣に検討している人は最後まで残ります。話している最中もお客様の顔色を見て、『この人は本気だな』と感じたら、すぐに営業担当につなぐことも。やるからには、ベストな結果を残したいですからね」


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