ところが、親御さんの頭の中では、「小5ならこれくらいできて当然」「中2ならこれくらい自己管理できて当然」という基準が、無意識のうちに高く設定されています。その基準こそが、毎日のイライラを生み出している張本人なのです。
期待値を下げることは、子どもをありのままに見ることでもあります。そして、ありのままに見られた子どもは、不思議と自分から動き出すようになります。
「心の作用・反作用の法則」を知る
物理の世界に、「作用・反作用の法則」という法則があります。壁を手で押すと、壁からも同じ力で押し返される、というあの法則です。実は、人間の心にも、これとまったく同じ法則が働いています。
強く押せば、強く押し返される。禁止すれば禁止するほど、やりたくなる。これを、私は「心の作用・反作用の法則」と呼んでいます。具体例を挙げましょう。
お子さんが幼い頃、「これは絶対に触ってはダメよ」と言った物に限って、子どもは手を伸ばしませんでしたか。「見ちゃダメよ」と言われた方向を、かえってじっと見つめませんでしたか。これは、子どもが「言うことを聞かない」のではありません。人間の心の構造上、禁止されたものに惹かれるようにできているのです。
この法則は、大人にも当てはまります。「絶対に開けるな」と書かれた箱があったら、開けたくなるのが人間の心理です。ダイエット中に「糖質は絶対ダメ」と決めた瞬間、甘いものが頭から離れなくなるのも同じ原理です。
さて、スマホ問題に戻りましょう。多くの家庭で、こんな会話が繰り返されています。
「スマホばっかりしてないで、いい加減にやめなさい!」
「絶対に、寝室には持っていかないで!」
「ゲームは1時間まで!それ以上やっちゃダメ!」
親御さんは、良かれと思ってこう言っています。ところが、心の作用・反作用の法則に照らすと、これらの言葉はすべて「逆効果」になっているのです。「やめなさい」と強く言われれば言われるほど、子どもの心の中では「やりたい」という欲求が膨らみます。


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