「1年次の5月から6月にかけて企業の説明会があって、インターンに申し込みます。インターンは夏から始まって、5、6社経験する人もいますね。2年次の5月頃にかけて、随時内定が出ます。研究だけでも忙しいのに、就職活動も重なるので、普通に考えたら留学は無理ですよ」
千葉大学の「ENGINEプラン」では、大学院生については留学のほか、国際学会における研究発表や研究討論などでの参加でも単位が認められ、支援も受けられる。また、渡航留学のほかにも、「渡航留学と同等の効果があるオンライン留学プログラムを選択することが可能」としている。
これに対してAさんは、修士課程の院生の実情を次のように明かす。
「私の周囲で留学できた院生はいないですね。国際学会で海外に行く人はいるものの、最近の国際情勢の変化で、アメリカで開催される学会に行けなくなるケースも出てきました。私も国際学会に出席したかったのですが、厳しい状況です。
それ以外の人は、国内で開催される国際学会に出席するか、オンラインプログラムを受講して単位を取得しています。ただ、海外の国際学会への出席は、もともと全員留学制度が始まる前から研究費によって支援を受けられていたと聞いています。学部生に比べると、院生は授業料値上げのリターンを受けにくい状況です。もっと支援を拡充するか、拡充しないのであれば授業料を下げてほしいと感じています」
「選択できる環境を整えている」
筆者はAさんが感じている疑問から、大学院生の全員留学の実情について千葉大学に質問をした。一旦文書で回答が寄せられた上で、総括・教育・国際担当の小澤弘明氏が対面で質問に答えた。
千葉大学が留学支援を理由のひとつとして授業料を値上げした2020年は、コロナ禍だった。緊急事態宣言下ではほぼ海外渡航はできず、オンライン留学で代替した。その後、海外渡航する学生は増えていて、2025年度には2978人となっている。このうち国際学会などを含めると約9割が、30日未満の短期の渡航だった。
現在はENGINEプランをさらに発展させた「ENGINE 2.0」によって、留学期間の長期化や、留学回数の複数化、それに自分の専門に近い内容で学べるよう高度化した留学を、多くの学生が実現できる環境作りを進めている。


※ログイン後、コメント入力が可能です。