Aさんは学部の時は親に授業料を払ってもらっていたが、院に進学してからは日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を月額で約8万円借りて、その中から授業料を払っている。修士の2年間で約200万円の借金を背負うことになる。
千葉大学は全員留学制度の導入などを理由に、2020年度に学部と大学院の修士・博士課程の授業料を年間64万2960円に値上げした。値上げによる増収分を財源とするグローバル人材育成の「ENGINEプラン」は、全員留学、グローバル教育の充実、スマートラーニングを3つの柱にしている。
全員留学は学部生の場合、10日間程度の短期プログラムから長期の交換留学まで選択できる。初めて留学する際には、留学プログラム費用の一部と渡航費の一部を大学が支援するほか、大学独自の奨学金制度も用意している。あわせて、グローバル教育の充実で英語教育を強化し、スマートラーニングによっていつでもどこでも学べる環境を提供している。
Aさんは学部では10日間のプログラムで留学し、プログラム費用と渡航費の一部として、合計10万円の支援を受けた。実際に経験して「留学できてよかった」と感じている。
ただ、大学院に進学してからは、大学院の授業料値上げの理由もグローバル教育のためだったと知り、疑問を持つようになった。それは、理系の修士課程に在籍している2年間は忙しく、留学することは困難だからだ。
研究と就職活動に追われて留学が難しい
国立大学では理系の場合、半数以上の学生が修士課程に進学する大学が多い。千葉大学も工学部や理学部では7割以上が進学する。Aさんは2年間の研究活動のスケジュールを次のように説明した。
「基本的には予定が入っていない日も研究室にいて、自分の研究を進めながら、教授から任される新たなタスクに対応しています。学会に参加する前や、自分が研究発表をする前などの忙しい時期は、実験や資料作成などで研究室に泊まり込むことも少なくないですね。修士論文の執筆も、修士1年の秋には中間発表があって、2年次の卒業前に完成させるまで大変です」
しかし、修士課程の学生にとって、大変なのは研究だけではない。1年生の段階から就職活動が本格化するのだ。


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