主人公は、ある日突然、世界から忘れ去られた舞台俳優・高瀬川玄(役所広司)。時代劇の名優の息子である高瀬川は二世俳優としてデビューし、舞台を中心に活躍してきた。
演劇の本場であるロンドン・グローブ座で主演公演を行い、大成功を収めた俳優の高瀬川玄を、知らない日本人などいなかった。ところがパンデミックが発生。ようやく2年ぶりに帰国した高瀬川は、家族にも、世間にも、すっかり忘れられていた。
高瀬川の口ぐせは「俺のこと、なんか言ってた?」。自分の噂や評判をつねに気にかけている“承認欲求の塊”。そんな彼がこの状況を受け入れられるはずもない。もう一度スポットライトを浴びるべく、再起を図る。名声も財産もすべて失った彼は、新たに出会う仲間たちの協力を得て、エキストラから頂点を目指していく。
濃い味を出すクセ強俳優が総出演
本作は、まず豪華すぎる出演者の顔ぶれが特徴的だ。ただ知名度や人気があるだけではない。クドカン脚本で濃い味を出すクセ強な俳優の全日本選抜だ。だからこそ、そこにいる全員がこれでもかというほどの強烈なインパクトを放つ。俳優陣のアンサンブルが作品のアクの強さになり、毎話の視聴後に頭から離れない。
個別に挙げると、高瀬川のライバル役で16年ぶりのドラマ出演になる濱田雅功のほか、忘れ去られた高瀬川が出会う劇作家役の賀来賢人、撮影現場のチーフ助監督役の松山ケンイチ、高瀬川の妻役の江口のりこ、元妻で芸能事務所社長役の吉田羊、ベテランエキストラ役に山本博(ロバート)など、それぞれの役柄とキャラクター性が、本人そのままのようで笑ってしまう。
加えて、役柄は出さないが上川周作、坂井真紀、津田寛治のインパクトがすごい。小日向文世もいい味を出している。そして、後述するが河合優実と磯村勇斗。彼らが飛び道具的なキャラクターを怪演し、物語をかき回している。
本作で登場する誰もが脇役のひとりではない。それぞれが強烈な輝きを放つメインキャラクターであり、ときに主人公を食ってしまう。そんなそれぞれのエピソードがありながらも、しっかりと本筋のひとつの物語に結集する。そこには、クドカン脚本ならではの笑いにあふれ、涙につながる仕掛けがある。


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