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〈深まる分断〉フランスのデモが映す「欧州の火種」、次に国債が売られる国はどこか、2027年大統領選の行方

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フランスのデモでは一部が暴徒化し、高級ブランドなども被害を受けた(写真:GettyImages)

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9月17日、パリ郊外にある高校の教員ストライキを受け継いだ生徒による学校封鎖(ブロキュス)からすべては始まった。教員不足、校舎の老朽化といった学習環境の改善や、大学入試のオンライン・プラットフォーム「パルクールシュップ」の廃止などを求める抗議行動は、フランス全土に拡大。
ガソリン価格高騰などのインフレや生活苦を訴える労働団体なども合流してデモの参加者は膨れ上がり、10月17日には55万人を超えた。大規模な暴動も起き、多くの逮捕者も出た。
政府は一部地域で夜間外出禁止令を出したが、鎮静化につながるかは極めて流動的だ。財政問題を背景に売られたフランス国債の価格形成や、2027年4月に迫った大統領選への影響などが気になるところ。欧州経済が専門のエコノミストであるニッセイ基礎研究所経済研究部の専務理事である伊藤さゆり氏に聞いた。

「大砲かバターか」は共通の課題

――フランスでの大規模なデモの背景には、財政面への不安があるとされています。

高校生が改善を訴える劣悪な教育環境の根源に、財政面での制約があるのは間違いない。折しも予算シーズンのさなかで、抗議行動が顕在化しやすい環境にもあった。フランスは債務が増加し財政赤字が膨張する中で、防衛費を増やさなければならない。移民流入に伴うコストも増加。その他の支出には抑制圧力がかかりやすい。

もっとも、「大砲かバターか」の選択を迫られるのはフランスに限らず、他の主要国も同様だ。公共サービスが充実している国ほど、それを削られてしまうことへの抵抗が強くなるのは自明の理。主要国が避けて通ることのできない共通の課題だ。

――マクロン大統領は一部で起きた暴動を「極左の過激派グループが扇動した」などと断定しました。ルコルニュ首相も高校生のデモについて、「左翼政党の不服従のフランス(LFI)の政治利用」などと非難。同党の関与をしきりに強調している印象があります。

現在は政党などが民意を得ようと、認知に働きかけて動く時代だ。2022年の大統領選の決選投票で、マクロン氏が(「極右」と称される)「国民連合」のル・ペン氏に勝利を収めたことをめぐり、「ル・ペン氏が大統領になったら大変なことになる」といった趣旨のメディアによるキャンペーン報道が奏功したため、との指摘もある。

早稲田大学政治経済学部卒業後、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て、ニッセイ基礎研究所入社、2012年上席研究員、23年常務理事、26年より現職(写真:本人提供)

LFIは今回のデモを政治利用をしようとしているかもしれないし、マクロン氏らの中道・右派はそうしたレッテルを貼りたいのかもしれない。一方で、ル・ペン氏らはデモを移民と結び付けて語り、トランプ米大統領も「制御不能な移民の大量流入がデモの原因」などとナラティブを展開する。

日本では物事を単純化しようとする傾向があり、「フランスには革命の歴史があるから、闘争を通じて主張をするスタイルに誇りを抱いている」などと理解しがちだ。しかし、同国の世論調査を見ると、多くの人々が暴力行為には反対だ。政治家などの言動や主張も慎重に見極める必要がある。

――隣国のドイツでは極右政党といわれるドイツのための選択肢(AfD)の躍進にみられるように、「極右政党と協力しない」という「防火壁」が揺らいでいるように見えます。フランスでも来年の大統領選で、ル・ペン氏当選の可能性が高まっています。

フランスにも「コルドン・サニテール(防疫線)」と呼ばれる考え方があるが、ドイツでAfDとともに「左翼党」が人気化しているのと同様、フランスでも国民連合とLFIという左右両極の党のプレゼンスが高まっている。

記事の続きでは、ル・ペン大統領が誕生した場合の注目点、フランスはじめとする国債価格への影響についても取り上げています。

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