会議終了後、IHRAの宿利正史理事長が囲み取材に応じた。聞きたかったのは「ATC以外の信号システムが高速鉄道専用線に使われた場合、それは新幹線と言えるのか」という点である。
宿利理事長はこう答えた。「究極の安全性と信頼性を確保することが、私たちの推奨する新幹線システムである。信号システムがATCでなければならないとは思わない。ATC自体もかつてのATCからデジタルATCに変わっている。それに相当するもの、それ以上のものが技術開発で登場して、それが安全だということが実証され、システムにうまく組み込まれるのであれば、私たちの活動の根本となんら変わりはないと思う」。
「高速鉄道の根幹」に関わる問題
一見、ETCSを容認しているようにも聞こえたが、宿利理事長はさらに続けた。「ただし、今までにない組み合わせの場合、その安全性が実証されているかどうかが重要だ。『まずやってみる』では話にならない。開発段階でいろいろな実証を行い、それが確実だということが確認されてから、実際に社会実装されることが不可欠である」。
実証を行っていく場合、今後のインド高速鉄道のスケジュールにおいて、誰が安全だと判断するのだろうか。さらに要員の訓練は誰が行うのだろうか。当初は日本の担当だったとしても、新幹線とは別物である以上、日本には責任が負えない。
事態は「車両が日本製かどうか」という段階を超え、高速鉄道の安全性という根幹に関わる局面へ入っている。日本のオールドメディアが無関心を決め込む間に、プロジェクトは重大な分岐点を迎えつつある。

