個人情報の流出はなかったので、ギリギリセーフであるが、医師になろうとしている人間が患者を軽んじるのは許されない。結局この学生は退学や留年にはならなかったけど、追加で1週間、臨床実習を課せられた。
で、なぜか小児外科に回されてきた。で、なぜかうちの教授がぼくに1週間面倒を見ろと言ってきた。命令されれば仕方がない。ぼくはその学生に付き合うことになった。
その子は、おとなしく、寡黙な学生で、今でいう陰キャだった。そうか、こんなに静かな子が、あんな過激な文章を書くのか。ぼくでさえ書けない教授の悪口を書くのか。結局その1週間は平穏に過ぎた。その子が来る前、ぼくはちょっと緊張していたのでホッとした。
医学部受験面接の導入
この一件で教授会は、一般常識がない学生は医学部に入れるべきでないという意見が大勢を占めた。
そこで面接である。医者に向かない受験生は入試の段階で除外しようという考え方である。ぼくは内心、え? そんな判断、教授たちにできるの? と思ったが、さすがにそれは口にしなかった。
こうして面接は導入されたのだが、試験をする教授たちも面接試験の技術を上げていったようにぼくには見える。
当初は、問題児になりそうな学生を弾き出すことが目的だったと思うけど、前述したように学生のコミュニケーション能力や、広い意味での教養とか、問題解決能力とかをきちんと評価するように現在はなっている。
千葉大医学部の面接は、受験界では「千葉大方式」と呼ばれており、学生と教官が1対1の面接を3回くり返すというものだ。教官たちは面接に相当なエネルギーを注いでおり、「教授に逆らう学生を落とす」などというレベルの低いものではない。



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