先にも述べたように、ペンギンの鳥マラリアによる死亡は、国内でも散発的に発生しています。そのため、動物園や水族館などでペンギンの飼育に携わる人たちの間で、鳥マラリアは比較的よく知られている病気です。
ペンギンは全身を羽毛に覆われていますが、足や目の周り、くちばしの周辺などには羽毛の少ない部分があります。蚊はそうした場所を狙って刺し、その蚊が鳥マラリア原虫を持っていれば、原虫はペンギンに感染します。
したがって、予防の中心になるのは、蚊をペンギンに近づけないことです。蚊が入ってきにくい屋内で飼育したり、屋外展示では送風機で風を送って、蚊を近づけないようにしたりします。ただ、私たちが蚊にまったく刺されないようにすることが難しいのと同じように、ペンギンたちを蚊から守りきることは容易ではありません。
鳥マラリアを発症してしまった場合は、抗マラリア薬や抗原虫薬が用いられることがあります。ただし、鳥マラリア専用の薬はなく、鳥マラリアを発症したペンギンの治療法は確立されていません。
今回の水族館では、死因が鳥マラリアだと判明したあと、改めて蚊への対策を行ってもらいました。その後、新たな鳥マラリア死は発生していません。
「そこにある」のに見つけられない
なぜ最初の病理検査では、鳥マラリアが見つからなかったのでしょうか。鳥マラリア原虫は組織標本の中に確かに「いた」のに、なぜ見過ごされたのでしょう。
まず、原虫そのものが非常に小さく、組織の中で目立たないということが理由として挙げられます。加えて、鳥類の赤血球には、私たち哺乳類の赤血球とは違って核があるので、顕微鏡で見た組織は全体的にゴチャゴチャしているのですね。
そこに小さな原虫が紛れているのですから、鳥類の病理組織を見慣れていないと、原虫を見逃してしまいがちです。
また、知識や経験の違いもあるでしょう。


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