血腫が大きく脳を強く圧迫している場合は、緊急手術が必要です。頭蓋骨の一部を外して血腫を取り除き、出血を止める開頭血腫除去術が基本です。外した骨をすぐには戻さず、脳が膨らむ余地をつくる減圧開頭術が選ばれることもあります。
手術の後、あるいは手術をしない場合でも、重症例では集中治療室(ICU)での管理が続きます。脳にかかる圧力(頭蓋内圧)をセンサーで測りながら、脳に十分な血液が届くよう、分単位で血圧や呼吸を調整していきます。
重い頭部外傷では、救命できても意識の戻らない状態が数週間から数カ月続くことがあります。それでも、時間をかけて少しずつ反応が戻り、会話ができるまでに回復する人もいます。
回復しても、記憶や注意力、感情のコントロールといった高次脳機能に障害が残ることもあり、この回復にも、月単位、年単位の時間がかかることが少なくありません。いずれにせよ、大切なのは、急性期を乗り越えた後の長いリハビリです。
「スポーツ外傷は軽い」のか?
スポーツ中の頭のケガ(スポーツ外傷)は、交通事故などに比べて軽く、若いから回復も早い——。そんなイメージを持っている方は多いと思います。この思い込みに注意を促す研究があります。
ヨーロッパを中心とする18カ国の病院で行われた大規模研究「CENTER-TBI」では、CTを行うべきと判断された16歳以上の頭部外傷患者4360人を、スポーツ外傷群(256人)とそれ以外のケガの群(4104人)に分けて、受傷後6カ月まで追跡しました。
スポーツ外傷群の平均年齢は、約39歳。それ以外のケガをした人の群(同約51歳)より若いうえ、もともと健康な人が多く、頭以外の大ケガを伴うことも少ないという、回復に有利な条件がそろっていました。
実際、6カ月後の不安やうつ、PTSD(心的外傷後ストレス症)、頭痛やめまいなどの症状は、スポーツ外傷群のほうが少なくなっていました。ところが、仕事や家庭、社会生活を以前どおりこなせるかという、機能的な回復については、年齢などの条件をそろえて比べると、差はありませんでした。
とくに目を引くのは、軽症の人たちの結果です。
救急受診時の意識がほぼ正常で、CTでも出血や骨折が見つからなかったスポーツ外傷群の約3割(31%)が、6カ月後でも受傷前の生活に完全には戻れていなかったのです。


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