脳は豆腐のように柔らかい臓器です。そのため硬い頭蓋骨に守られ、さらにその内側は硬膜、くも膜、軟膜という3枚の膜に包まれています。
頭に加わる衝撃は、大きく2種類に分けられます。
1つは、「物が頭に直接ぶつかる衝撃」です。頭蓋骨の骨折や、骨のすぐ内側を走る血管に損傷が起きやすくなります。そしてもう1つは、「首が急にしなって脳が回転するように揺さぶられる衝撃」です。こちらは脳の神経や表面にある静脈に損傷が及びます。
頭を打つことで起こる4つのケガ
こうした力によって起こる代表的なケガは、次の4つです。
①急性硬膜外血腫 頭蓋骨と硬膜の間に血液が溜まる状態です(血腫とは血の固まりのこと)。こめかみ付近(側頭部)の骨が折れ、その裏を走る中硬膜動脈が傷ついて起こることが多いです。
動脈からの出血なので血腫は短時間で大きくなり、脳を圧迫します。血腫が大きい場合は一刻も早く手術をして出血を止め、血腫を除去する必要があります。
②急性硬膜下血腫 硬膜と脳の間に血液が溜まる状態です。脳の表面から硬膜へ向かう静脈が切れたり、打撲部から出血したりして起こります。脳自体の損傷を伴うことが多く、硬膜外血腫に比べて重症化しやすいです。
③脳挫傷(ざしょう) 脳が頭蓋骨にぶつかり、打撲を起こした状態です。打った場所だけでなく、反対側(とくに額やこめかみの裏)にも起こります。受傷直後より、数時間〜数日かけて出血やむくみが広がることが少なくありません。
④脳震盪(しんとう)・びまん性軸索(じくさく)損傷 脳全体が揺さぶられ、一時的に機能が乱れるのが脳震盪です。意識が遠のく、記憶が飛ぶ、ふらつく、頭痛がするといった症状が出ますが、CTやMRIでは異常がわかりません。
同じ「揺さぶり」がはるかに強く加わり、脳の深部の神経が広い範囲で傷つくのが、びまん性軸索損傷です。画像では小さな出血しか見えなくても、受傷直後から深い昏睡になることがあり、後遺症が残りやすい重いケガです。


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